治療と仕事の両立をいかに支援するか

平成29年3月、「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」の参考資料に、「脳卒中に関する留意事項」、「肝疾患に関する留意事項」が追加されました。
このガイドラインには、事業場が疾病を抱える労働者に適切な就業上の措置や治療に対する配慮を行い、治療と職業生活が両立できるようにするための取組みなどがまとめられています。
昨年2月のガイドライン策定時には「がんに関する留意事項」が作成されています。

【事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン】

脳卒中に関する留意事項

◆再発等予防・治療のための配慮
◆障害特性に応じた配慮
◆復職後の職場適応とメンタルヘルス

脳卒中を含む脳血管疾患の治療や経過観察などで通院している患者数は、平成26年患者調査によると118万人と推計されています。
そのうち約14%(17万人)が就労世代(20~64歳)と言われています。
若い世代は脳卒中に罹患しても職場復帰することが可能なことが少なくないですが、職場復帰に際しては、配慮が必要です。

詳細はこちら⇒【事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン 参考資料 脳卒中に関する留意事項】

肝疾患に関する留意事項

◆肝疾患の特徴を踏まえた対応
◆肝疾患に対する不正確な理解・知識に伴う問題への対応

肝疾患は病気が進行していない段階でも通院による治療や経過観察を要します。
服薬治療では薬を飲むタイミングが一定ではないこと、注射によるインターフェロン治療を受けた場合は一時的に副作用が現れることもあります。
そのため、事業者は労働者と相談のうえ配慮することが望ましいと明記されています。
肝硬変の症状がある場合や、肝がんに移行した場合などについても、それぞれ配慮すべき事項が説明されています。
また、通常の日常生活や就業でB型やC型肝炎ウイルスに感染することはほとんどありませんが、周囲が誤った認識を持っていると、労働者が「就業の継続のための理解や協力が得られない場合もある」として、事業者には疾患についての正しい知識の啓発などが重要なことも記されています。

詳細はこちら⇒【事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン 参考資料 肝疾患に関する留意事項】

 両立支援をサポートするための連携

治療と職業生活の両立支援を行うには、本人以外にも、下記関係者が連携することが重要です。

①事業場の関係者(事業者、人事労務担当者、上司・同僚等、労働組合、産業医、保健師、看護師等の産業保健スタッフ等)
②医療機関関係者(医師(主治医)、看護師、医療ソーシャルワーカー等)
③地域で事業者や労働者を支援する関係機関・関係者(産業保健総合支援センター、労災病院 に併設する治療就労両立支援センター、保健所(保健師)、社会保険労務士等)

また、労働者と直接連絡が取れない場合は、労働者の家族等と連携して、必要な情報の収集 等を行う場合があることも記載されています。
治療と職業生活の両立支援は、労働者本人の症状、業務内容等の個別性に合わせた様々な対応が求められると考えられます。
より適切な両立支援の実施を可能にしていくために、ますます連携が大切になるのではないでしょうか。

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