厚生労働省より、全国の労働局や労働基準監督署などの労働基準監督機関が、
平成27年に技能実習生の実習実施機関に対して行った監督指導や送検の状況についてのとりまとめが公表されました。
外国人技能実習制度とは、企業などでの実習を通して技術を習得し、
母国の経済発展を担う人材を育成することを目的としていますが、
実習実施機関では、労使協定を超えた残業、危険・健康障害防止措置などの未実施、
割増賃金の不払いといった労働基準関係法令に違反したケースが依然として存在しており、
厚生労働省はその是正に取り組んでいる状況です。
5,173件の監督指導を実施。71.4%で法令違反が!
今回の報告でも、監督指導を実施したうち、3,695件の労働基準関係法令違反が確認されており
その内訳は、
(1)違法な時間外労働など労働時間関係(22.6%)
(2)安全措置が講じられていない機械を使用させていたなどの安全基準関係(20.8%)
(3)賃金不払残業など割増賃金の支払関係(15.0%)
の順となっています。
制度の目的からかけ離れた生々しい現状が浮き彫りに…
報告では、労働基準監督官が監督指導・申告を受けての処理・送検した事例も紹介されています。
その内容として、
・36協定を越えた月150時間の残業を行わせていた
・有機溶剤業務などを行わせているにも関わらず、特殊健康診断や作業環境測定を行っていない
・時間外労働を「労働ではなく、研修の一環である」と時間単価500円程度で勤務させていた
・フォークリフトの無資格運転を行わせて死亡事故発生
といった惨憺たる状況が報告されています…。
その他にも監督指導時の虚偽報告や、賃金不払いなどが報告されており
本来の制度目的とあまりに乖離した状況が浮き彫りになっています。
実習生をこき使うような、実習生制度を悪用する状況は
いち早く改善されることを切に願います。