産業医を選任したものの、従業員からの産業医面談の希望申し出が少なく、産業医を活用しきれていない……という悩みを持つ企業がかなり多いように感じます。
今回は、産業医を活用しきれていない企業に面談希望者を増やすための具体的な取り組み方法をわかりやすくアドバイスします。
産業医面談を受け入れる前に
まず、産業医面談の希望者を募る場合、次のようなことに気をつける必要があるでしょう。
・ 過重労働者が多くないか
・ メンタル不調者が多くないか
・ 健康診断結果で「要治療」「要精密検査」などの従業員が多くないか
・ その他、優先的に産業医面談を受けさせる必要がある従業員が多くないか
上記の該当者は、最優先で産業医面談を受ける必要があるため、希望者に対する面談対応は後回しにするといった配慮が求められます。
面談希望者を増やす取組例
・産業医の社内認知を積極的に
ほとんどの企業では、「毎月第○▲曜日の13時~15時に産業医が訪問する」というように、産業医訪問日が決まっていますね。
万が一訪問日が変更された場合、そのことは社内に周知されているでしょうか?
ある企業では、産業医の顔写真を入れた「産業医ポスター」を作成し、休憩室や各フロアの目立つところに貼って周知したところ、産業医への相談数が格段に増えたといいます。
顔写真を載せることによって、人柄なども伝わり、相談しやすくなったという意見が多数あったとのこと。
産業医とご相談の上、こうした取り組みも試す価値はあるでしょう。
・職場巡視は目立つように
毎月の産業医訪問では、産業医の職場巡視が行われています。
工場系にくらべ、オフィス系の職場では、職場巡視が重視されていない傾向があるようです。
産業医と衛生管理者で、業務の邪魔にならないよう「静かに巡視」しているケースを多く聞きます。
その一方で、あえて目立つように巡視をしている企業もあります。
産業医・衛生管理者・衛生委員数名が一団となって、オフィス内を巡視することによって、一般社員に対してアピールをしているケースがあるのです。
腕章を準備したり、巡視用に白衣を購入する企業もあります。
「産業医=毎月職場巡視をしてくれている人」が周知されることも、相談数増加につながるようです。
社員の健康管理には、産業医とかかわりを持ってもらうことも近道です。
そのことを念頭に置き、相談しやすい環境をつくっていくことは、産業保健スタッフの重要な役割といえます。