大企業だから従業員の健康管理に力を入れることができるのでしょうか?
従業員の健康管理を重視しているから実力のある企業でいられるのでしょうか?
“鶏が先か卵が先か”の問題のようでもある従業員の健康管理について、衛生委員会への取り組み方を例に所感をまとめました。
なぜ衛生委員会なのか?
健康診断の実施やストレスチェックとともに、衛生委員会の実施は法令で実施が決められています。
しかし、労働者が求められる健康診断やストレスチェックと比較すると、衛生委員会の実施は後回しにされがちです。
限られた産業医の時間を、緊急性の高い個人対応に優先させることは当然といえるかもしれません。
逆にいえば、衛生委員会の実施状況や内容が充実している企業は、各従業員への対策ができている上に衛生委員会の時間も確保していると考えられるため、その組織の健康管理への考え方をみる一つの指標となりえるのです。
衛生委員会については、50名以上の労働者がいる事業場において、月に1度以上開催し、その議事録は3年間の保管義務が、労働安全衛生法と労働安全衛生規則に明記されています。
また、衛生委員会では、健康障害の防止や健康の保持増進、労働災害の原因や再発防止等、労働者の安全衛生全般について調査審議することが求められています。
衛生委員会の現状は?
衛生委員会を月に1度以上実施されていないパターンとしては、「未実施」「議事録の作成のみ行っている」「数か月や1年に1度行っている」などがあるようです。
その理由を尋ねると、そこまでの余裕がない、やり方がわからないという理由が一番に挙げられます。
それ以外にも、従業員の健康管理については、経営者の考えが反映されることが大きく、経営者が必要ないと考える場合、真っ先に削られかねません。
給与を支払っている従業員には必要な業務をしてもらえばよく、衛生委員会が経営には影響がないどころか、無駄な労働力を使っていると見るような経営者は、実施する必要性を感じないのでしょう。その場合、衛生委員会は、労働基準監督署の監査対策のためとなってしまいます。
また、衛生委員会を実施していても、現状を共有するのみであればすぐにマンネリ化し、やがて実施されなくなるということもあります。
未来をつくる機関としての衛生委員会
法律で定められているから実施する、では終わらせない、その先を見ることが衛生委員会の活性化のポイントです。
衛生委員会は、経営会議や役員会議とは異なった視点から組織をみることができます。
一方、従業員の健康や職場環境を通して将来の組織を作り上げていく、重要な役割も担います。
個人の健康はそれ自体に価値があるだけではなく活動の基盤となることから、仕事や消費に影響が及びます。個人の健康状態が病気を感染させるリスクや不健康な生活・習慣を誘引することさえあることまで考えると、一個人の健康状態は周囲にも影響を及ぼします。
従業員の健康状態や職場環境が個人のパフォーマンスに影響し、組織の生産性につながっていくのですから、衛生委員会を活性化することが経営状態をよい状態に保つ陰の立役者となり得るのです。
これからの衛生委員会の位置づけとして、経営に関して意見を挙げるために活用する場と考えることがまずは重要でしょう。
ドクタートラストでは、企業ごとの事情に沿った衛生委員会支援サポートも行っています。
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