50名未満の事業場にも産業医を導入してほしい痛切な理由
- 2021/3/1
- 産業医
先日、私の親戚が亡くなりました。
享年40歳でした。
今回は、この出来事をきっかけに思ったことを書きます。
腰痛と思いきや、ステージ4のガン
親戚は奥さんと小学1年生と3歳の子ども2人の4人家族で、休日は公園に出かけたり、旅行に出かけたりと、家族想いの方でした。
職業は事務職で、従業員数およそ30人の小規模企業に勤めていました。
死因は肝臓がん。
2020年7月に腰痛が酷く、黄疸が出てきたということで病院を受診したところ、ステージ4のガンと診断されました。
すでにさまざまなところに転移してしまっている状況で、手の施しようがないといわれるような状況だったそうです。
定期健康診断は? なぜ見つけることができなかった?
もっと早いタイミングでガンを見つけることはできなかったのだろうか、そう思わずにいられませんでした。
本人は定期健康診断を1年に1回受けていたものの、従業員数50人未満の企業で産業医の選任義務がないため、職場に産業医はおらず、受けっぱなしで終わっていたとのこと。
また、これまでに大きな病気をしたことがなく、自分の健康については無頓着で、少しくらいの体調不良は放置していたようです。
そのため、ガンが見つかる半年ほど前から体の異変を感じてはいたものの、検査を受ける機会はなく、病気の進行に気づけずにいたそうです。
健康診断のあとに産業医との面談があれば、定期的に健康相談できる機会があれば、状況は違っていたかもしれません。
50名未満企業もぜひ産業医を選任してください
葬儀の間、ある企業の社長さんのお話をふと思い出しました。
その社長さんは3年ほど前、50歳で起業しました。
従業員は若年層を中心におよそ25人ですが産業医を選任されています。
「なぜ産業医を導入しようと思ったのですか」と尋ねたときの答えが印象に残っています。
「私はこの会社を潰したくない。日本一を目指すようなことはしないが、社員が幸せで、無理なく生活していけると最高と思っている。この会社の従業員は、私の子どもと思っている。この会社に何年いてくれるかわからないが、この会社の従業員である以上は、しっかりと健康管理をしていきたい。大企業なら健康管理もしっかりしていると思う。こんな零細企業を選び頑張ってくれているのに、この会社に入ったがために、早死にしてしまったということになれば、従業員の家族に顔向けできない。できれば定年までは、責任をもって社員を健康な状態で勤め上げてもらいたいと思っている。その手段の一つということで産業医を導入することにした」
私の身内で、悲しい出来事がありましたが、このようなことは他では起こってほしくありません。
社員数が50名未満の企業を経営しておられる皆さん、社員の健康管理のため産業医導入をぜひ検討ください。