10月は乳がん月間(乳がん早期発見強化月間)です
定期的に乳がん検診を受診していますか?
乳がんは、乳腺にできるがんです。
乳がんにかかる女性は年々増えており、国立がん研究センターによると、年間約9万人の女性が乳がんにかかり、日本人女性の11人に1人が生涯のうちに一度は乳がんにかかっているというデータがあります。
乳がんになる人は30歳から増え始め、40歳から50歳代の働き盛りに多くなっています。
乳房の特徴によって違う? 検診方法の選び方
乳がんはマンモグラフィ検査、乳腺超音波検査、視触診を受けることで、発見することができます。
それぞれの検査方法や特徴は過去の記事を参考にしてください。
さて、これらの検査方法ですが、年齢や乳房の特徴によって、適しているものが異なることはご存知でしょうか。
現在、乳がん検診で注目されているのが、若い世代の乳がんの検査方法についてです。
日本人女性の半数以上が「マンモグラフィ検査だけ」では不充分
若い女性の乳がん検査方法が注目されている理由は、「高密度乳房」の存在です。
乳房は乳腺組織と脂肪でできています。両者の割合は一人ひとり異なっていますが、一般的に30歳代から40歳代前後の方や日本人を含むアジア人は乳腺組織が多い「高濃度乳房」の傾向があり、その割合は4割~8割と高いといわれています。
マンモグラフィ検査では、異常なしこりや石灰化はレントゲンで白く写ることで発見されます。
しかし、乳腺組織も白く写るため、乳腺組織の多い高濃度乳房の場合、異常なしこりや石灰化を見つけづらくなります。
一方、乳腺超音波検査(乳房エコー検査)では、異常なしこりや石灰化は黒、乳腺組織は白く写ります。
そのため、高濃度乳腺の場合に、マンモグラフィ検査では判別しづらかった異常なしこりや石灰化が見つけやすくなります。
閉経に伴い、乳房における脂肪の割合が増える傾向がありますが、個人差も大きいため、一概に年齢で判断することはできません。
現在の日本では、市町村で実施している乳がん検診としては、40歳以上の女性に2年に1度のマンモグラフィ検査を推奨しています。
対して米国では多数の州で高密度乳房の人には通知を出し、マンモグラフィ検査と超音波検査の併用を薦めることが義務づけられるなど、がんの見逃しを防ぐための対策がすでに取られています。
特徴を踏まえて定期的に検診を受けましょう
このような乳がんの検査方法の特徴を踏まえ、現在、厚生労働省はJ-STARTというプロジェクトを行い、マンモグラフィ検査に乳腺超音波検査を併用する検診と併用しない検診を比較する試験を実施し、その有効性を検証しています。
マンモグラフィ検査に乳腺超音波検査を併用することで、新たに見つかるがんもあります。
しかし、逆にがんではなかった人が針精検など負担の多い精密検査を受けることも増えるという問題点が指摘されています。
J-STARTで検証している有効性とは、死亡率を減少させることであるため、研究結果が判明するまでには数十年かかるといわれています。
日本でも、高密度乳房を受診者通知している・または検討している自治体も着々と増えています。
マンモグラフィ検査と乳腺超音波検査の併用による乳がんの死亡率の減少はまだ判明されていませんが、マンモグラフィ検査で「高密度乳房」を指摘された場合、翌年以降は超音波検査を併用していくなど、それぞれの検診の特徴を踏まえたがん検診を受けることが大切です。
さらに、自分自身で行える月1回の視触診も忘れずに行っていきましょう。