この数日、西・東日本の各地で、内陸を中心に真夏日・猛暑日を記録し、ぐったりしてしまいそうな暑さに見舞われました。
そうなると、昼夜を問わずフル稼働となるのが冷房ですが、うまく活用し対策をとらないと、私たちの身体はさまざまな不調をきたします。
身体が暑さに慣れる「暑熱順化」
私たちの身体には、季節に対する適応能力が備わっています。
身体が暑い環境に慣れることを「暑熱順化」といいますが、この順化が進むと、低い体温でも発汗が起こるようになり、同じ体温で出る汗の量は増え、さらに皮膚の血流も増加します。
こうして、熱の放出が早い段階で行われるようになるため、体温の上昇は少なくなり、結果暑さに対して楽に過ごせるようになり、夏バテ・夏の疲労を防ぐことができるのです。
多くは、梅雨明けくらいに自然と暑熱順化が成立するといわれています。
過度な冷却は自律神経へのストレス
エアコンによる「冷え過ぎ」と、「温度差」によって引き起こされるさまざまな体調不良を、一般的に「冷房病」と呼んでいます。
私たちの身体は、暑いときには血管を拡張させ、体内の熱を外に逃がそうと働きますが、エアコンで過度に身体が冷やされると、反対に体温を逃がさないよう血管が収縮します。
通常、発汗によって体温調節しているものが、冷房で冷やされたお部屋では、汗をかくことなく楽に体温調節ができてしまいますね。
環境としては心地よいのですが、過度な冷やし過ぎは発汗能力も落ち、暑さに対する順化も落ち熱中症にかかりやすい身体をつくります。
冷えによるさまざまな不調
■全身のだるさ、疲労感
冷え過ぎにより汗をかかないと、乳酸などの疲労物質が体内に蓄積するため、倦怠感や疲れが残る、といった症状を自覚します。
■胃腸機能の衰え
自律神経は、胃腸の働きやホルモン分泌の調節機能も担っています。
そのため、自律神経の不均衡が、消化器系へ影響することもあります。
■心血管疾患への影響
中高年の方では、温度差による血管の拡張・収縮が負荷となり、血圧や脈拍の変動から病状を悪化させることも。
特にこの時期は脱水により、普段以上に血液の粘稠度が上がりドロドロになりやすいため、動脈硬化がベースにある方は注意が必要です。
冷房を適切に使うために
1.外気温と室内の温度差は5度前後が理想
冷房の効いたお部屋から外へ出た時、急激な温度差についていけず、疲労やだるさを感じることがあります。
疲労・倦怠感が慢性的なものにならないためにも、設定温度に気を付け、時々窓を開けて外気を取り入れることが大切です。
2.除湿をうまく活用
また気温が低くても、湿度が高いと汗はうまく蒸発できません。
体温は汗の蒸発によって下がるため、湿度が高いと身体の中に熱がこもります。
温度を下げるだけではなく、ぜひ除湿機能もあわせて活用しましょう。
3.冷風が直接当たらないように注意
冷気は部屋の下の方にたまりやすいため、扇風機などを利用して風を動かすと、あまり室温を下げなくても涼しく過ごせます。
またカーテンやすだれなどで直射日光を遮る、冷気を外に逃がさないなどの工夫も、効果的な利用といえるでしょう。
4.風通しの悪い箇所をチェック
風通しの悪い場所は熱気がこもりやすく、その付近に長時間いる場合は熱中症のリスクが高率に。
時々ドア・窓を開け換気をする、扇風機を回すなど、意識して風通しをはかることが大切です。
上記、個別での調節が難しいところもあるでしょう。
そうした場所では、薄手の羽織りものや靴下、膝掛けなどで、万全な冷え対策をとっていただくと良いでしょう。
前述した通り冷気は足元にたまりやすいため、下半身を温めることがポイントです。
つま先の上げ下げ運動は、末梢の循環を促し血流を良くするため、デスクワークの方の足元の冷え予防にお勧めです。
また食事では、温性食物(ショウガ、ネギ、ニンニク、玉ねぎ、香辛料など)の入った温かい食べ物がおすすめです。
7月には熱中症予防強化月間に入りますが、今のうちから事前の対策をしっかりと行い、夏本番を乗り切っていきましょう。