突然ですが、みなさんの会社では年に何回、大掃除を行っていますか?
多くの会社は、年末にだけ大掃除をして年を越すのではないでしょうか。
でも、実はそれ、法律違反なんです!
今回は、意外に知られていない労働安全衛生法上の決まりをお伝えします。
大掃除は半年に1回やるべし!
大掃除を義務付けているのは、労働安全衛生規則の下記の部分です。
第619条 事業者は、次の各号に掲げる措置を講じなければならない。
同条第1項 日常行う清掃のほか、大掃除を、六月以内ごとに一回、定期に、統一的に行うこと。
大掃除を年末に行う会社が多いかとは思いますが、実は「6か月以内に1回」行わないと法令違反になってしまうのです。
違反した場合の罰則として、労働安全衛生法第119条にもとづき、「6か月以下の懲役または50万円以下の罰金」となる可能性があります!
また、事業者には大掃除の実施が義務づけられていますが、労働者には同規則において、「労働者は、作業場の清潔に注意し、廃棄物を定められた場所以外の場所にすてないようにしなければならない」(第620条)ということも義務付けられており、職場環境をきれいに保つことは、企業・労働者双方にとって必要不可欠です。
その他、多数の細かい決まりごとが……
労働安全衛生規則には、細かい規則が多数明記されています。
たとえば、第615条には「事業者は、持続的立業に従事する労働者が就業中しばしばすわることのできる機会のあるときは、当該労働者が利用することのできるいすを備えなければならない。」と明記されています。
つまり、”立ち仕事も座れるなら、適度に座ったほうがいいから、会社が用意してあげなさい”という決まりごとです。
他にも、第626条では「事業者は、労働者の被服が著しく湿潤する作業場においては、被服の乾燥設備を設けなければならない。」と服を乾燥させる必要があることを明記しており、第617条では「事業者は、多量の発汗を伴う作業場においては、労働者に与えるために、塩及び飲料水を備えなければならない。」と汗をかいたあとの飲料と塩を用意することも決められていたりします。
なお、労働安全衛生規則には罰則の規程がありませんが、それぞれ労働安全衛生法上に紐づくため、悪質と判断された場合などは罰則が適用される可能性もあります。
何のための決まりなのか?
パッと見ると、当たり前のことが多いように思えますが、こういったことがしっかり対策できている職場環境を想像してみると、その意義がわかると思います。
しっかりと清掃を行い整理・整頓が行き届いた清潔な職場や、濡れた身体をすぐに乾かすことができる環境、しっかりと座れるスペースがある立ち仕事などは、労働者が働きやすい環境といえるでしょう。
労働安全衛生規則の細かな取り決めを見落とさず、積極的な確認と対応を行って職場環境の改善に繋げていくことを考えてみてはいかがでしょうか。