労基署立ち入り検査のハードルが下がります

先日、本紙でも取り上げましたように、厚生労働省は平成27年4月から12月まで、全国8,530の長時間労働が疑われる事業場に対して、労働基準監督署による監督指導を行いました。
その結果、半数を超える4,790事業場で違法な時間外労働が発生していることが判明しました。

残業月80時間超で臨検の対象に

このような背景もあり、政府は残業時間が「月100時間」を超えている恐れのある事業場への労働基準監督署による臨検を、「月80時間」へと引き下げる方針を打ち出しました。
この動きは一億総活躍社会を目指す中で、働き方の改革が必要なために打ち出される措置で、女性の子育て支援や、高齢者の活躍を促進することが狙いです。
先の調査では、違法な時間外労働のうち80時間を超えるものは全体で3,685にも上り、こうした事業場は指導の対象となり得るでしょう。

今回の引き下げで、対象となりうる労働者はおおよそ3倍程度になるとも言われており、企業にとっては注意が必要な動向です。

衛生管理者に求められること

衛生管理者の方は、労働基準監督署の臨検が入らないように、また、もし今後入った場合にしっかりと対応できるよう、次の点に注意をしてはいかがでしょうか。

36協定の確認…特別条項付協定で100時間超えの残業を認めている場合は、指導が入る可能性があります。長くとも月45時間に収めることが必要でしょう。
また、特別条項を付していない場合、通常は45時間が時間外労働の限度時間ですが、特定の事業や業種では上限がない場合があります。
その場合でも、限度がないからと100時間を超えないよう注意が必要です。建設業界等で顕著にみられますが、そういった業界の衛生管理者の方は慣例に流されないよう、より注意をしましょう。

残業時間の管理…違法な時間外労働の一つとして、残業代の未払いがあります。
従業員が勝手に残業をしていても、最終的には企業の責任となる場合があります。残業をする場合は必ず申請してもらうようにし、毎月の衛生委員会で残業時間の管理をし、是正が必要であればその対策を練りましょう。
たとえば、45時間を超えた場合は、必ず産業医と面談を行うことを衛生管理規定に盛り込んだり、残業時間が増している部署に向けてのリーフレット作成、健康教育の実施なども従業員の健康意識向上に役立つでしょう。

このような流れの中で衛生管理者に求められることは、残業をしなくても良いように、一人ひとりの作業効率を挙げられる工夫を産業医等と共に考えることや、総務部や管理部と連携を取り、残業時間の正確な把握とその低減策を講じることです。

社員の健康のため、時間外労働に関しては、今後も厳しく抑制していきましょう。

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