腎臓と疲れの関係
尿を作る器官である「腎臓」。
実はそれだけではなく、血液をろ過することで、体に必要のないものといるものを仕分けして、体に必要のないものは、体の外に排出する働きをしています。
その他にも、血圧を調整したり、赤血球を作ったり、骨の発育に大切なビタミンDを作っているのも腎臓。
昔から「肝腎要」という言葉にあるように、「肝臓と腎臓は人体の要である」と言われていることには納得ですね。
この腎臓が、皆さんの日々感じている「疲れ」に関係している可能性があります。
こんな症状はありませんか?
・ 朝起きるのがつらい
・ 寝ても疲れが取れず、だるい
・ 甘いものやしょっぱいものが好きでよく食べる
・ 疾病にかかりやすくなった
・ 怪我をすると治りにくい 等
年度末を迎え、疲れがたまる頃に、疲れにばかり意識を向けるのではなく、自分の腎臓のことにも気にしてみませんか。
腎臓では、血液をろ過することで、体に必要なものかどうかを仕分けすると前述しました。
腎臓が疲れていると、腎臓の機能が低下して、通常の仕分け作業ができなくなり、血液が中性に近いアルカリ性から酸性に傾き、ドロドロになります。
そうすると、本来、血液で運ばれるはずの必要な酸素や栄養が体に行き渡りにくくなり、体が疲れてしまうというわけです。
疲れた腎臓を、そのままにしておいてはいけません。
腎臓は、普段は存在を主張することなく、地味な存在です。
そして、機能が低下しても、自覚症状として現れにくく、かなり悪化してからでなければ、症状は出現せず、「我慢強い臓器」「沈黙の臓器」とも呼ばれています。
腎臓が疲れているサインは、体のむくみや尿が濁ったり頻尿になるといった変化がおきます。
これらの異変に早めに気づき、日頃の生活習慣から改善していく必要があります。
腎臓の不調は、むくみと尿の変化でみよう
こんなことはありませんか?
・ 夕方になると脚が太くなる・靴がきつくなる
・ 朝起きると顔が腫れぼったい
・ すねを押して、指を離してもへこみが元に戻らない
このようなむくみのある方は、腎臓が疲れている可能性が高いです。
むくみの原因は、筋肉が落ちることで、血流が悪くなったり、冷えることで代謝が低下することがあります。
一方で、通常、腎臓は尿の量を調整することで、体内の水分をコントロールしていますが、腎臓の不調により、余分な水分や塩分を排出できなくなるという原因もあります。
また、腎臓が疲れていると、尿にも不調として現れます。
・ 尿のにごり
・ 血液が混じった血尿
・ 頻尿(特に夜間頻尿)
などの症状があれば、腎臓の機能が低下している可能性があります。
むくみや尿の変化を見て、自分の腎臓の状態を把握しましょう。
異常の早期発見には、健康診断の結果も活用
◎腎機能障害の早期発見には尿検査
<尿たんぱく検査>
(−):腎臓は正常に働いています
(±)〜(+):健康な人でも激しい運動の後や、疲れているときに一時的にたんぱく尿が出てしまうことがありますが、念のため再検査をお勧めします。
(2+)(3+)(4+):腎臓に何らかの障害が起きている可能性があります。もう少し詳しい検査が必要です。
◎腎機能障害の進行度の確認には血液検査
健康診断の結果から、高血糖や高血圧に該当した場合、健康状態などを勘案しながら医師が必要と認めると、従来の検査項目に加え、血清クレアチニン検査を実施することになっています。
<血清クレアチニン値>
(男性)基準範囲:1.00以下 要注意:1.01-1.29 異常:1.30以上
(女性)基準範囲:0.70以下 要注意:0.71-0.99 異常:1.00以上 (単位 ㎎/dL)
クレアチニン、とは筋肉を動かすと発生するもので、尿以外では体の外に排出されません。
そのため、血液中のクレアチニン値が高いということは、腎臓の働きが悪くなっているということがわかります。
<eGFR(推算糸球体濾過量)>
基準範囲:60.0以上 要注意:45.0~59.9 異常:44.9以下 (単位 mL/分/1.73㎡による)
eGFRでは、腎臓が1分間のうちにどれくらいの血液をろ過しているか、を表す値です。
つまり、腎臓がどれくらい働いているかを調べることができます。
生活習慣の改善で腎臓を元気に
◎たんぱく質と塩分に気をつける
腎臓を守るために、食事で特に気をつけるのは「たんぱく質」と「塩分」です。
たんぱく質を多くとりすぎると、腎臓からしか排泄されないクレアチニンなどが多くなってしまい、腎臓への大きな負担になります。
たんぱく質は魚や肉だけではなく、ご飯、パン、芋類、果物、野菜などにも含まれています。
何気なくとっている食品に、たんぱく質が多く含まれている可能性がありますので、注意して見てみてください。
腎臓の機能が落ちていると、ナトリウムを排泄する能力が落ちていますので、食塩は控えましょう。
特に高血圧の方は、食塩の量には注意が必要です。
◎適度な運動
たんぱく尿が多量に出ていたり、安静の必要がある場合以外は、適度な運動が効果的です。過度な運動は、腎臓にとってかえって逆効果の場合があります。
腎臓を労わりつつ、運動による効果を得たい時は、まず現在の活動量より少しでも増やすことを目標にしてみましょう。
・ 楽にできる有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、サイクリング等)
・ 運動習慣がない方はまず、1日の歩行時間を10分増やしてみる
などが効果的でしょう。
◎体を冷やさない
寒い冬が続いていますが、体が冷えることで、血流が滞り、必要な栄養や酸素などが全身に運ばれにくくなります。
そうすると、細胞や臓器の働きが悪くなり、自律神経の乱れや免疫力の低下といった症状に現れやすくなります。
冷たい飲食物や、お菓子などの砂糖がたくさん入った甘いものの摂りすぎには注意が必要です。
また、忙しい日々だからこそ、シャワーで済まさず、湯船にしっかり使って体を芯から温めるようにしましょう。