2019年8月4日、厚生労働省から、埼玉県でエボラ出血熱の感染疑いのある患者が発生したと発表がありました。
国立感染症研究所で検査した結果、「エボラ出血熱感染」は陰性であるという結果が得られましたが、「エボラ出血熱」「死に至る感染症」「強い感染力」などのワードを耳にして恐怖を抱いた方もいるのではないでしょうか。
今回の記事では、エボラ出血熱に関する正しい知識をお伝えしていきます。
エボラ出血熱の感染方法・症状
エボラ出血熱の感染方法
エボラ出血熱はエボラウイルスによる感染症です。
「感染症」と聞いて、どのように感染すると想像するでしょうか。
私たちに一番身近な「インフルエンザ」や「風疹」などの感染症は「飛沫感染」と呼ばれ、咳やくしゃみなどで感染させてしまいます。
また、子どものころにかかる「水ぼうそう」や「麻疹(はしか)」は「空気感染」であり、飛沫感染と同様に、咳やくしゃみなどが原因で、ウイルスや細菌が空気中に漂うことで、感染します。
エボラ出血熱は、空気感染でも飛沫感染でもなく、「接触感染」です。
エボラウイルスに感染し、症状が出ている患者の血液や分泌物、吐しゃ物等の体液に十分な防護なしに触れた際、皮膚の傷口や粘膜からウイルスが侵入することで感染します。
エボラ出血熱の症状
エボラ出血熱は、主にコンゴ民主共和国など、アフリカ中央部で流行しているエボラウイルスによる感染症です。
このウイルスに感染すると、2~21日(通常1週間前後)の潜伏期間を経て、発症します。
症状が発現するまでは、感染力を持ちません。
つまり、仮にエボラウイルスを持つ方が、飛行機や電車などで同じ空間にいたとしても、症状が発現するまでは感染力がないため、恐れる必要はありません。
エボラ出血熱は初期症状として、全身倦怠感や38度以上の高熱、頭痛、筋肉痛などが出現、これらに続いて嘔吐や下痢、出血(吐血や下血)がみられるようになります。
ここで注意が必要なのは、これらの症状はエボラ出血熱以外の感染症(腸チフスやマラリア等)でも現れる症状だということです。
そのため、上記の症状が出たからといって、エボラ出血熱だと判断はできません。
どうやってエボラ出血熱かどうかを判断するか(エボラかな?と疑ったら)
では、どうやってエボラ出血熱であるかを判断するのでしょうか。
まず、エボラ出血熱発生地域(中央アフリカ諸国)から帰国し21日以内に、以下の点が疑わしい場合は、速やかに医療機関を受診してください。
(1) 38度以上の発熱
(2) エボラ出血熱を疑うその他の症状
(3) エボラ出血熱患者との接触歴がある
(4) エボラ出血熱発生地域由来のコウモリや霊長類等に直接手で触れたことがある
医療機関へ受診する際は、必ず「エボラ出血熱発生地域に滞在していた」ことを伝えてください。
エボラ出血熱はどう予防するの?
2019年現在まで日本やその他近隣国へのエボラ出血熱の発生は確認されていません。
しかし、2014年にはアメリカやヨーロッパといった国での症例もあります。
東京オリンピックを来年に控え、外国人観光客が急増するであろう日本でも、自分の身は自分で守る必要があります。
・エボラウイルスは、アルコール消毒で死滅します。
アルコール手指消毒剤を用いた手指消毒や、血液・体液などの分泌物を扱う際は手袋を装着するなどで接触感染を防ぎましょう。
・感染の危険のある地域へのむやみな渡航を避けるようにしてください。
2019年7月18日付で、コンゴ民主共和国およびウガンダ共和国においてエボラ出血熱の患者が急増していることから、感染症危険情報を発出しています。
外務省の海外安全ホームページを確認の上、その指示に従い、渡航を決定するようにしましょう。
<参考>
厚生労働省検疫所ホームページ https://www.forth.go.jp/
外務省 海外安全情報ホームページ http://www.anzen.mofa.go.jp/