みなさんの会社でも産業医の交代が起こったことはありますか?
産業医の紹介も行うドクタートラストには、日々さまざまな企業からの問い合わせをいただきます。
その中には、先生の交代に関する問い合わせも。
産業医の辞任理由は、医局人事などによる遠方への転居や、勤務体系の変更、妊娠・出産など、本当に多様です。
なかには、「急遽やめてしまった!すぐに紹介してほしい」というご相談もあります。
ドクタートラストでは、産業医の迅速な紹介にも対応しているので、こういったご相談も喜んでお引き受けするのですが、実は「産業医の交代」は、新しい産業医を紹介してもらって終わり…ではないのです。
衛生委員会で報告をしなくてはいけません
2019年4月に労働安全衛生法、および労働安全衛生規則が改正されました。
改正に伴い、労働安全衛生規則13条4項として、以下が定められました。
事業者は、産業医が辞任したとき、または産業医を解任したときは、その旨、および理由を衛生委員会(または安全衛生委員会)で遅滞なく報告しなくてはいけない。
ちなみに「遅滞なく」とはおおむね1か月以内との解釈が行われています。
また、産業医の辞任理由をどこまで委員会で報告するかという問題ですが、厚生労働省から都道府県労働局長への解釈通達にて、健康上の問題など機微な内容であれば、「一身上の都合」などとして構わないとのことです。
さて、これまで記載がなかった文章ではありますが、その狙いは何なのでしょうか?
産業医の機能強化
ご存知のとおり、働き方改革と同時に産業医・産業保健の機能強化も行われ、企業における健康管理活動にテコ入れがなされています。
また、解釈通達では「産業医の身分の安定性を担保し、その職務の遂行の独立性・中立性を高める観点から、事業者は、産業医が辞任したとき又は産業医を解任したときは、その旨及びその理由を衛生委員会等に報告しなければならないこととされている」との記載があります。
これまでも産業医と(安全)衛生委員会は密接にかかわるものでしたが、これを機に法的にもその意味合いを強めているのではないでしょうか。
どちらにせよ、衛生委員会に対して大きな役割が期待されていることに違いありません。
産業医の選任は誰の権限か
産業医の選任は事業者への義務として法的に求められていますが、その人選は企業における健康管理を主体的に担う(安全)衛生委員会が望ましいでしょう。
今後、産業医の交代が発生する企業様においては、(安全)衛生委員会において報告を行い、さらには審議事項として次の産業医選定を扱うことを忘れないようにしてください。