業務委託契約でも労災は適用される?

労災の対象者

通常、労働者災害補償保険(以下、労災保険)は雇用契約を結んでいる、労働者を対象にしています。
そのため、「使用者」と「労働者」ではなく、独立した事業者間の契約となる業務委託契約の場合、通常は労災保険は適用されません。
ただし、業務委託契約であっても使用従属性が高い場合、形式的に 「業務委託契約」 であったとしても、労災保険が適用される可能性があります。

「使用従属性が高い」とは?

使用従属性を判断する基準としては、以下のものが考えられます。

■ 仕事の依頼、業務従事の指示に対して断る自由があるか

拒否する自由があれば、対等な当事者間の関係となり、使用従属性は薄れますが、拒否する自由がない場合は、使用従属性が高いと判断される要素となります。

■ 業務の遂行方法および内容に指揮命令が及んでいないか

会社が業務の具体的な遂行方法を指示し、業務の進捗状況を本人からの報告等により把握、管理している場合には、業務遂行過程で「使用者」の指揮監督を受けていると考えられ、使用従属性が高いと判断される要素となります。

■ 勤務場所・勤務時間が拘束されているか

勤務時間、勤務場所が指定され管理されているときは指揮監督を受けている要素となります。ただし、指定場所が業務の性質上、安全を確保する必要上から管理される理由のある場合は指揮監督を受けているとはいえません。

■ 報酬の計算単価が時間給や日給といった時間をもとにしていないか

報酬が、時間を単位として計算される場合には、使用従属性が高いと判断される要素となります。

■ 他社の業務を行うことを禁じられているか

他社の業務に従事することが制約され、または事実上困難な場合には、使用従属性が高いと判断される要素となります。

「使用従属性が高い」と認められた場合

使用従属性が認められると労働者と判断され、以下のような労働法上の保護を受けることができます。

  •  健康保険、厚生年金、雇用保険等の保険料の負担
  •  残業代等の支払
  •  年次有給休暇の付与
  •  健康診断の実施

ポイントは、業務委託契約といった形式的な名称ではなく、あくまでも現実の実態で判断されるということです。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

関連記事

解説動画つき記事

  1. 【動画あり】2022年6月施行「改正公益通報者保護法」を専門家がわかりやすく解説!退職者や役員も保護対象になる⁉

一目置かれる健康知識

ページ上部へ戻る