ストレスチェックでわかること ~健康リスクと高ストレス者の関係~

ストレスチェックが義務化され1つの期限である11月30日が過ぎ、落ち着き始めた企業も多いのではないでしょうか。
今年のストレスチェック、準備は始めていますか? (1/18 産業保健新聞より)

「健康リスク」が高い部署は、「高ストレス者」が多い?

取引先の企業からいただいたご相談に「健康リスクの高い部署は、高ストレス者が多いのか?」というものがありました。
一見すると、健康リスクの高い部署には、高ストレス者が多そうに思えますね。
しかし答えは「そうとは限りません」。
部署ごとに出た健康リスクの数値結果と、組織内の高ストレス者数は分けて考える必要があります。
それはどうしてでしょうか?

集団分析

集団分析は、ストレスチェック受検57項目から、以下4つの尺度から各3項目、合計12項目に対して、受検した従業員の回答を集計して算出します。

量的負担>…①
:数値が高すぎるとよくない状態。仕事や作業量について、数値が高いと業務量が多いと感じている。

コントロール>…②
:数値が高いと良い状態。業務について裁量権があり自分の意見や考えを反映できるかについて、数値が高いと働きやすいと感じている。

上司の支援>…③
:数値が高いと良い状態。上司との関係性とも言い換えられ、数値が高いと良い関係と考えられる。

同僚の支援>…④
:数値が高いと良い状態。同僚との関係性とも言い換えられ、数値が高いと良い関係と考えられる。

以上①~④までそれぞれ4つの尺度から算出された数値から、健康リスクが計算されます。
①×②⇒仕事量とコントロールにおける“健康リスク”…⑤
③×④⇒職場におけるにおける“健康リスク”…⑥
さらに
⑤×⑥⇒総合健康リスク

健康リスクは100を基準とし、120を超えている場合、職場内でストレスとなりうるような問題が生じている状態が多いため、職場改善などの対応をする際の参考にできます。
数値については、たとえば健康リスクが120の場合、基準100と比較しその集団において健康問題が生じる可能性が20%高い、というようにパーセンテージで考えます。

高ストレス者

一方、高ストレス判定は、57項目から計算されますが、受検者本人のパーソナリティに偏ることは否めません。
受検するときは、主観は抜きにして素直に答えることが望ましいですが、今の状況を知られたい(教えたい、気づいてほしい)、知られたくない(気づかれたくない)などの感情が入るか入らないか、によっても結果は異なってきます。
受検者自身が自身の状況について深く内観することで、より自分のことを理解することができるでしょう。

ストレスチェックの目的

ストレスチェックの主な目的は
≪一次予防≫ 労働者のメンタルヘルス不調の未然防止
つまり、受検者が自身の状態を知ることをとても大切なこととして位置づけています。

そして
≪職場改善≫ 働きやすい職場の実現
つまり、事業者には、仕事のストレスに関する問題が生じていると考えられる職場の把握と改善が求められています。

集団分析は低ストレス者・高ストレス者含め受検者全員分の12項目から算出、ストレス判定は57項目から判定します。
また計算方法も、同じではありません。
つまり健康リスクが高い部署が高ストレス者が多いとは限らないのです。
高ストレス者を把握することができるのは、本人の同意を得られた場合を除き、実施者や実施事務従事者のみとなります。
ところが、高ストレス者を把握して、何らかの対応につなげたいと考える事業者は多くあります。
実施者となれる産業医や保健師等が事業場内にいる場合は、健康診断結果等含め実施者が適宜対応することが可能ですが、高ストレス者面談はあくまでも本人の希望があった場合のみ。
結果開示をすることに躊躇い、面談を希望しない場合もあるでしょう。

そこで、事業者としては集団分析を活用し組織全体を知ることを、また、受検者本人はセルフケアを、各々がその対応を考え、実施していくことが重要なのです。


<二次予防>メンタルヘルス不調を早期に発見し、適切な対応を行う
<三次予防>メンタルヘルス不調となった労働者の職場復帰を支援する

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