経営者にこそ読んでほしい。ストレスチェック受検率を上げるべき明確な理由

「産業保健新聞」を運営する株式会社ドクタートラストでは、毎年ストレスチェックのサービスを何百社と導入いただき、多くの方々に受検いただいています。
その中で「高ストレス者率」に並んで気になるのが「受検率」です。
多種多様な業種があり、さまざまなバックグラウンドがありますので、受検率が高い会社もあれば、低い会社もあります。
今回は、ストレスチェック受検率を上げるべき理由をわかりやすくご説明します。
まずこの受検率が高い意味、低い意味を少し見ていきましょう。

受検率は「78.0%」

一般的に「高い」「低い」と判断するためには基準が必要になります。
一体、全国平均的な受検率はどれくらいだろう?ということで、受検率を検索してみると、厚生労働省が発表している受検率がヒットしました。


出所元:厚生労働省「ストレスチェック制度の実施状況」(2017年7月)

上記の通り、平均の受検率は78.0%とわかります。
しかし、母体となる全体の受検対象者数が不明で、調査も2017年と若干古いです。
そこで、ドクタートラストで行ったストレスチェックサービスの数字をさかのぼって調査してみました。

2018年度:有効受検者数:270,148名、受検率:89.0%
2019年度:有効受検者数:199,290名、受検率:88.5%

おおよそ9割弱が平均的な受検率となっています。
読者の方の会社はいかがでしたでしょうか?

投資とそのリターン

この受検率について、少し視点を変えてみましょう。
まずストレスチェックを行うことは、コストと労力がかかります。
受検実施を外部委託すれば労力が少なくて済みますが、コストがかかります。
逆に社内で実施すればコストは少ないですが、時間・労力がかかります。
コストにしろ時間・労力にしろ、何かしらリソースを投入(投資)しなければなりません。
そして受検後は、①ストレスの高低を受検者本人が自覚できることと、②集団の分析が行うことができます。
①は受検率が高い方が自覚できる社員が増えるので、受検率が高い方が良いのは皆さん直感的に把握できると思います。
では②はどうでしょうか?
実はドクタートラストが提供しているドクタートラストのストレスチェック最大の効果は、②にあると捉えています。
②はいくつかの手法で行うことができますが、統計学などを用いて科学的に分析を行うと組織の問題が浮き彫りになることが多く、それを解決するための方法を掘り起こし、社内の職場環境が良くなり、生産性のアップや社員の離職率の低下、プレゼンティーイズムなどによるコスト増加防止ができます。
②による改善は、埋まっている場所がわかっている宝探しをやる感覚です。
同じ投資を行うのであれば、小さなリターンではなく、大きなリターンを得たいと思うのが経営者の皆さんの共通の感覚ではないでしょうか。
しかしながら受検率が低いと、この「リターン」が期待できなくなってきます。統計分析的にデータ数が多いほうがより真理に近付けるためです。

受検率の上げ方

では受検率を上げるためにはどうすればよいでしょうか。
ポイントは「周知」「媒体」「時期」です。

これらの方法はすでに産業保健新聞で紹介済みですが、実行すると受検率が飛躍的に上がります。
実際に、スタート時は「6割」程度だった受検率が、勧奨を行うことにより「8割」を超えた事例が多々ありました。
さらにストレスチェックのサービスを続けて発覚したことがあともう一つ、「環境」があります。
たとえば、コロナの影響で外国人の方が減ったとはいえ、まだ外国人労働者は日本国内たくさんいます。
しかし日本語に不慣れな労働者もおり、受検がおざなりになるケースも。
また、受検が業務時間中に許されておらず、家でやるしかない、となったケースでは社員は家ではやらず放置したという例も。
言語の問題は、外部の業者であれば多くは対応しているので、そちらに発注すると良いでしょう。(もちろんドクタートラストも対応しています)
受検を勤務時間中に行って良い、ということをスタート前に周知するだけでもハードルはぐっと下がり、社員も協力するでしょう。
そして、何より重要なのが「経営層が受検を促すメッセージを出す」という点です。
「この会社は社員のことを考えてくれているんだな」「今の環境を良くしようと努力しているんだな」というポジティブなイメージを与えるのと同時に与え、受検に協力的になってくれます。
周知文を人事担当者ではなく、経営層のメンバー名義で出す、こういった姿勢を見せることも行ってはいかがでしょうか。

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杉井 将紘株式会社ドクタートラスト 常務取締役

投稿者プロフィール

IT企業に長年従事。その際の労働環境が整備されておらず、訴えても変わらない状況から健康管理会社のドクタートラストへ転職を決意。
畑違いの業界に戸惑いつつも、ITの力を駆使して産業保健業界に一石を投じるべく日々奮闘。
【ドクタートラストへの取材、記事協力依頼などはこちらからお願いします】

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