ピロリ菌検査…受けるならいつ?
- 2017/11/21
- 健康管理
乳酸菌、ビフィズス菌、納豆菌……。
普段暮らしている中で、さまざまな菌の名前を耳にしますよね。
皆さんは、「ピロリ菌」をご存知ですか?
胃の粘膜に住み着いてしまう菌です。
ピロリ菌。
なんだかとっても可愛らしい名前の菌ですが、実は厄介な菌なのです。
酸性の胃でも生きのびる、ピロリ菌
胃液には、胃酸という強い酸が含まれています(およそpH1~2)。
そのため、従来は胃の中で細菌は生きていけない、と考えられてきました。
実際に、ピロリ菌が生きるために心地のいいpH値は6~7です。
では、なぜピロリ菌は胃に感染することができるのでしょうか。
ピロリ菌はウレアーゼという酵素を出すことで、アンモニア(アルカリ性)を作り出し、胃酸を中和し、自分の周りを住みやすい環境にすることができるのです。(画像でいうと黄色い部分のイメージです)
自分で住みやすい環境を作り出しているので、ピロリ菌が胃の中から自然にいなくなることはほとんどありません。(※注)
どうしてピロリ菌がいるの?いたら何が悪いの?
冒頭では、厄介な菌とお伝えしましたが、ピロリ菌が胃の中に住む(感染する)ことで何が起こるのでしょうか。
実は、このピロリ菌の感染が原因で、胃がんになると言われています。
以前は、処理が不完全な生活用水から感染することが多かったのですが、衛生環境が改善されてきた現在では、生活用水からの感染はほとんどありません。
そのため、日本で胃がんになる人は以前にくらべ減少しています。
それなら、今の時代、ピロリ菌に感染することはないの?という疑問が浮かぶかもしれません。
(出典:二十歳のピロリ菌チェックを推進する会)
残念ながら、ピロリ菌の感染率は20代で7.0%、30代で10.5%、40代で20.5%と、若い年代の方でもまだまだ感染している方がいるのが現状です。
衛生環境が整っている現在では、感染原因の約8割が家族からの経口感染と言われています。
特に、離乳食が開始される生後4~8か月頃の保護者からの口うつしが要因と考えられています。
このピロリ菌、10歳を超えてから感染することはほとんどないと考えられています(感染しても、一過性の感染で終わる可能性が高いです)。
胃酸の分泌や、粘膜の免疫といった働きが不十分な5,6歳までにピロリ菌に感染すると言われています。
ピロリ菌に感染すると、すぐに胃がんになるの?
ピロリ菌に感染した人すべてが胃がんになるわけではありません。
感染することにより炎症が起こり、炎症状態が続くと、慢性胃炎、更には粘膜が萎縮した萎縮性胃炎となり、その一部ががんとなっていきます。
つまり、ピロリ菌に感染している期間が長ければ長いほど、胃がんになるリスクが高くなるのです。
そのため、自治体によっては、中学生にピロリ菌検査を実施しているところもあります。
ピロリ菌をはやく見つけ、はやく除菌することで、将来胃がんになる人を減らすための取り組みですね。
さて、表題の「ピロリ菌検査。受けるならいつ!?」
答えは、「なるべくはやく!」となります。
ピロリ菌検査については、また次回に詳しくお話できたらと思います。
おまけ:ピロリ菌を除菌したら、もう胃がん検診は受けなくていい!?
よく「私はもうピロリ菌除菌したから、胃がんにはならないわ~♪」と、胃がん検診を受けない方がいらっしゃいます。
ですが…それは、間違いです!!
上記でお話したとおり、ピロリ菌に感染している期間が長ければ長いほど、胃がんになるリスクが高くなります。
そのため、除菌をした人はむしろ、生まれてから一度もピロリ菌に感染していない人よりも、胃がんになるリスクは高いということになりますので、必ず1年に1回(または2年に1回)胃がん検診を受診しましょう。
(※注)萎縮性胃炎が進行すると、ピロリ菌さえも住めない状態となります。
そうすると、ピロリ菌はいないけど、胃がんのリスクは高い!といった状況になります。