遺伝子検査、受けるべきか?受けざるべきか?
- 2016/2/10
- 健康管理
皆さんは「遺伝子検査」について、どこまでご存じでしょうか。最近、耳にするようになったという方も少なくないのではないのでしょうか。
「そもそも遺伝子って何?」「検査で何がわかるの?」「費用は?」「検査をするか悩んでいる」など、今回はこれらの疑問を含め、お伝えしたいと思います!
そもそも「遺伝子」とは
目や鼻、口など顔立ち、手や足の形、髪や肌の色などの身体的特徴が親から子へ遺伝するのは、広く知られています。この特徴を決めているのが、いわゆる「遺伝子」とよばれているものです。「遺伝子」の情報は、約60兆個ある人間のすべての細胞にあるDNAの並び方により決まります。
DNAは「遺伝子」の情報が書き込まれている物質であり、「遺伝子」とDNAは同じように扱われていることも多いですが、その概念は異なります。体の器官や臓器はDNAに基づき作られるため、DNAは生命の設計図ともいわれています。
遺伝子検査って何?!
遺伝子検査は、個人の細胞を採取して、遺伝子を構成するDNAの情報を読み取り、病気のかかりやすさ、体質などの遺伝的傾向を調べる検査です。
例えば、肥満になりやすい、がんになりやすいなど、自分がどのような遺伝子を持っているのかを知ることで、それらのリスクに対する予防や早期発見につなげたり、生活習慣や環境の改善に役立てたりすることができます。
また検査には、2種類あります。
- 生まれながらに持っている体質を調べる検査
- 生まれた後に生じたDNAの変化(がんへの変異など)を調べる検査
遺伝子の情報は、一生変化しない(書き換えることができない)ため、基本的に一度検査をすれば再検査の必要はないといわれています。
どのように検査をするのか
検査では、検体とよばれるものを採取し、専用の装置で遺伝子の情報を解析します。DNAはすべての細胞に存在するため、体のどの部分の細胞も検体として使用することができます。
<一般的によく採取される検体>
- 血液
- 口腔粘膜、唾液
- 毛髪
また2016年1月には、国立がん研究センターに遺伝子診療部門が開設され、わずか5mlの血液採取で、がんに関連する60種の遺伝子異常を検査できる手法を公表しました。こうした研究により、今後より一層、がん予防や治療の個別化に応用されることが期待されています。
費用は?保険適用になるの?
以下、15種の疾患に関する遺伝子検査に限り、保険適用となります。それ以外の保険適用とならない場合は、自費で検査をすることになります。
デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、福山型先天性筋ジストロフィー、脊髄性筋萎縮症、栄養障害型表皮水疱症、家族性アミロイドーシス、先天性QT延長症候群、中枢神経白質形成異常症、ムコ多糖症Ⅰ型、ムコ多糖症Ⅱ型、ゴーシェ病、ファブリ病、ポンペ病、ハンチントン病、球脊髄性筋萎縮症 |
自費の場合、検査方法によって費用は異なるので、それぞれを比較してみるとよいでしょう。
- 数個の遺伝子から肥満遺伝子を調べるなどの場合は5,000~15,000円程度。
- 高いものは数十万円にのぼる。
- 大きな病院やクリニック、自宅で検査できるものもある。
検査を受ける前に考えたいこと
遺伝子検査は、疾患のリスクや体質の傾向を知る手助けにはなりますが、確定診断の根拠となる医療検査ではありません。そもそも私たちが病気になる要因には、遺伝的なものだけでなく生活や環境など、もともともっているもの以外のものも関係しており、多くはそれぞれが関連しあいながら影響を及ぼしているというのが本当のところです。
例えば、肺がんのリスクが高い遺伝子をもっていたとしても、必ずしもそうなるとは限りません。逆をいえば、肺がんのリスクが低い場合でも絶対にかからないとはいえませんし、もちろん喫煙をしていればそのリスクは高くなるでしょう。
実際に遺伝子検査を受けるのか、受けないのかを決めるのはあなたです。その決断が難しいと感じた時は、まずは検査に関する情報(メリット・デメリット、リスク等)をしっかりと理解することが大切です。不安や疑問、心配なことは、メモにして、医療機関や医師などに問合せるなどして、きちんと解消してから決断することをおすすめします。