少子高齢化の進む日本では、介護の問題が深刻化を増しています。
介護のために仕事を止めざるを得ない人も年々増加しています。とりわけ働きざかりで、企業の中核を担う層が直面する課題といえます。
そんななか、介護離職者が年間10万人を超えるという状況を鑑み、内閣は「介護離職ゼロ」を目指すとの考えを発表しました。
介護離職とは
介護離職とは、介護を理由に離職することを指します。
自分一人で介護しなければならない等の状況に直面し、仕事と介護の両立が難しくなり、退職してしまうことです。
仕事のスキルが熟してきた30~40代男女や、50代の男性の介護離職が急増している傾向にあります。
そういった層に離職されてしまうのは、企業運営の観点からしても芳しくありません。
介護離職を防ぐには、具体的にどのようなことをすれば良いのでしょうか。
介護離職をさせないための支援制度
・介護休業制度
要介護者を家族に持つ者は、育児・介護休業法に基づき、介護休業を利用することができます。
「要介護者」とは、負傷等により、2週間以上の常時介護を必要とする者を指します。
また、対象家族1人につき、通算93日まで休業することが可能です。
休業手続きをする際には、休業開始予定日と休業終了予定日を決めて、2週間前に事業者に書面等で申請する必要があります。
・介護休業給付金
雇用保険の被保険者が介護休業を利用した場合は、介護休業給付金を受け取ることができます。
給付額は休業開始前の給与の40%です。休業中に給与を受け取った場合は、給付金が減額されたり支払われない場合があります。
・介護休暇制度
介護休暇は、家族の通院の付き添いや、買い物などのためにとる休暇のことです。
介護対象となる要介護者が家族に1人の場合は年に最大5日まで、複数の場合は年に10日までの範囲で休暇を取得することができます。
・深夜業の制限
家族に要介護者がいる者が申し出た場合、深夜(午後10時~午前5時)に労働させてはなりません。
・法定時間外労働の制限
家族に要介護者がいる者が申し出た場合、1ヵ月について24時間、1年について150時間を超えて労働させることはできません。
このような様々な制度を労働者に利用してもらうことで、仕事と介護の両立による負担を軽減させることが、介護離職を防ぐことになるでしょう。
企業にとっては、相応の努力を要することですが、働きやすい職場環境を維持するためにも、いち早い対応が必要とされているのではないでしょうか。