
メンタル不調の早期発見
メンタル不調に陥った場合、適切な介入や治療が行われるまでに要した時間と回復するまでにかかる時間は同程度だと言われており、早期発見・早期介入がとても重要です。
メンタル不調を起こさないような職場環境作りが一番大切ですが、それでも仕事の状況によっては過重労働や休日出勤の必要があったりと、労働者を取り巻く環境は必ずしも良いものとは言えないのが現状でしょう。
そのような中で「メンタル不調」に気づく際のポイントについて考えてみます。
少しずつ遅刻が増えていくケース
ここで事例を取り上げます。
社員Aは月60時間の残業が継続している状況にあります。
ある時から社員Aが頭痛や倦怠感を理由に1時間程度遅刻をするようになりました。
上司は「最近残業も多くて疲れているだろうから、ゆっくり出社していい」と伝えました。
そのまま様子を見ていたところ社員Aの出勤時間は段々と遅くなり、1時間程度だった遅刻が午後から出勤する日も。
仕事量は変らないため、遅刻分の穴を埋めるためフレックスタイムを利用して帰宅時間はさらに遅くなっていきました。
帰宅時間が遅いため朝起きられず、結果的に遅刻や欠勤がどんどん増えてしまいました。
いかがでしょうか?
これは忙しい職場でよく見られるケースです。
忙しい時に疲れが残るのは当然であり、上司も部下の遅刻に対して「大丈夫」と声をかけたくなるものです。
しかし良かれと思ってとった行動が部下のメンタル不調を助長してしまうこともあるためこのようなケースでは注意が必要でしょう。
寝起きには個人差があるものの、今まできちんと出勤できていた社員に遅刻が目立ってきたのであれば、以下の可能性を考える必要があります。
① 疲労が過度に蓄積され、朝起きることができない
② 睡眠がうまく取れていない
③ 仕事に行きたくない、つらいと感じて出勤できない
④ 過度の疲労蓄積に伴って心身に不調をきたしている
遅刻が目立ってくるようになると、それはメンタル不調のサインであることが多いのです。
ついフレックスタイムの利用や午後出社を勧めたくなりますが、その前に一度声をかけ、その状況に応じて適切に対応していかなくてはなりません
睡眠状況のヒアリング
メンタル不調をきたしている時に一番影響が現れやすいのが「睡眠」です。
そこで、睡眠が十分に取れているかどうかをヒアリングすることをおすすめします。
精神的なことに関する質問は聞くほうも聞かれるほうも話しづらいもの。
しかし、睡眠の状況なら比較的話しやすく、不調を見つけるきっかけになることが多いのです。
早めの介入でうつ病を防ぐ
また、遅刻が増えてその分退社時間を遅くするケースも見られますが、これでは生活のリズムが崩れてしまい、ますます「睡眠の質が悪化→朝起きられない」という悪循環を引き起こします。
遅く帰ることで仕事を調整するのではなく、一旦残業時間を減らし、早く帰宅して休養を取れるよう配慮するようにしましょう。
メンタル不調の延長線上には、うつ病等の精神疾患を発症する可能性があります。
なんだか最近不調だなという段階で早めに介入すれば、ちょっとした調整のみで元の調子を取り戻すケースがたくさんあるのです。
ギリギリまで粘って休職ではなく、早め早めの介入を心がけるようにしていいきましょう。