今流行している「糖質制限ダイエット」。
脂肪蓄積の原因の1つである「糖質」を制限するため、短期間で効果が出ることから各種メディアに取り上げられています。
また、「低炭水化物ダイエット」なども耳にしますよね。
炭水化物は糖質と食物繊維の2つの栄養素から構成されています。
つまり、糖質制限ダイエットは「低炭水化物ダイエット」のうちの一つということになります。
実はこれらのダイエットに明確な基準はなく、極端に糖質を制限したり、ゆるやかに炭水化物を控えるなど、方法はさまざま。
すべてに共通するのは、糖質によって構成されている炭水化物を控えるということです。
このようなダイエット方法には、メリットデメリットがないのか?ということで、
本稿では、「低炭水化物ダイエットとその効果」をテーマにした論文を基に解説していきます!
メリット
低炭水化物ダイエットによって、短期的な減量の効果は期待できます。
イギリスで、63人の肥満男性・肥満女性を対象とし、以下の2グループに分け、体重変化率を調査した研究が発表されています。(※1)
① 低炭水化物・高たんぱく質・高脂肪の食事をするグループ
② 炭水化物・たんぱく質・脂質をバランスよく摂取するグループ
年間体重の変化を調査したところ、①は6か月経過の時点で②より大幅な体重減少がみられました。
このことから、短期的に体重を減らしたい場合には効果があるといえます。
デメリット
1.長期的な効果が期待できない
上記で紹介した研究には続きがあります。
2つのグループが1年間指定の食事を続けたあと、体重を調査したところ、2つのグループの体重減少率にあまり差がなかったのです。
低炭水化物グループは最初は体重がぐっと減りましたが、後半リバウンドし結果的に同じくらいの体重になったということです。
つまり、1年間という長いスパンで見ると、低炭水化物ダイエットをしても、
バランスの良い食事をしても体重の減少率はさほど変わらないということになります。
2.死亡率や疾患のリスクを上昇させる
2018年、欧州心臓病学会から、長期の低炭水化物ダイエットは死亡のリスクを上昇させるという研究結果の発表がありました。(※2)
この研究は、低炭水化物食と、全死因、心血管疾患、および癌による死亡率の相関を調べたもので、
447,506人の参加者と平均15.6年の研究を総合分析して確認されました。
低炭水化物食の人は通常の食事を摂っている人と比較し、以下のように死亡リスクが高くなるという結果になりました。
・全死因……15%
・心血管疾患……13%
・がん……8%
低炭水化物ダイエットにより死亡リスクが上昇するメカニズムについて、研究者は、炭水化物(ごはん)を減らすことにより、
動物性タンパク質(とくに脂肪の多い牛肉や豚肉、加工肉)の摂取量が増えるおそれがあり、これらがリスク上昇と関連していると指摘しています。
つまり、ごはんやパンの量が少なくなり、脂肪が多く入った肉や加工肉の量が増えることで栄養バランスを崩し、その食生活が疾患にかかるリスクを挙げる可能性があるという見解です。
まとめ
上記に記したように、糖質制限は短期的にみるとに効果がありますが、
長期的にみると疾患にかかりやすかったり、リバウンドしやすいということがわかります。
リバウンドしないダイエットについてはこちら

ダイエットを行う際は、続けられる方法で取り組み、バランスの良い食事を心がけましょう。
出典:
※1 A Randomized Trial of a Low-Carbohydrate Diet for Obesity
※2 Low carbohydrate diets are unsafe and should be avoided(欧州心臓学会 2018年8月28日)
