喫煙者の5人に1人はかかっている?知られざる肺の生活習慣病とは

最近、息切れしやすくなった気がします。あと、咳や痰も出てきて、年を重ねたせいかな?それとも風邪をひちゃったのかな?と思っています。

藤居保健師

実はそれ「たばこ」が原因でかかる、肺の生活習慣病かもしれません!

今日はたばこが原因でかかる肺の生活習慣病、「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」について、一緒に学んでいきましょう。

COPD(慢性閉塞性肺疾患)ってなに?

①どんな病気?

COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは、慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれてきた病気の総称です。
たばこの煙を主とした有害物質を長い年月吸った結果、炎症を起こし気道が狭くなるなど肺への空気の流れが悪くなり、息苦しさなど呼吸に関する症状が出ます。
長年にわたる喫煙が大きく影響するという意味で、「肺の生活習慣病」ともいわれています。
また、COPDは生命を脅かす肺の病気であり、進行していくと予後は不良となりやすいです。
世界の主な死因第3位、日本国内の死因でも第9位となっています(ともに2019年)。
しかし、世界・日本国内ともに死因トップ10に入っているにもかかわらず、残念ながら社会的な認知度が低いのも事実です。日本では40歳以上の8.5%(男性13.1%、女性4.4%)、COPDの潜在患者は530万人以上と推測されていますが、治療を受けているのはそのうち5%未満といわれています。
今日を機会にぜひCOPDについて知っていただき、予防対策について学んでいきましょう!

②なにが原因?

COPDの最大の原因は「喫煙」です。
患者の90%以上は喫煙者、また喫煙者の15~20%がCOPDを発症します。
喫煙が大きく関わっていることから、別名「たばこ病」や「肺の生活習慣病」とも言われています。
また、たばこを吸わない人でも4.7%の人がCOPDにかかっています。
受動喫煙によりCOPDに罹患する可能性もありますので、喫煙者・非喫煙者ともに注意が必要な病気となっています。

③どんな症状?

早い方だと40歳を超えると症状が出てくる場合もあります。
たばこを1日20本以上、20年間以上吸ったことのある方は特に下記症状がないか注意してください。

COPDの症状例

・ 痰を伴う咳
・ 坂道や階段を上るときに息切れする
・ 同世代の人に比べて息切れしやすい
・ 息を吐く時間が伸びる
・ ぜいぜいするなど喘息のような症状
・ 呼吸自体が苦しくなる
・ 口をすぼめて呼吸をすると楽になる

COPDは咳や息切れなどの症状から始まり、進行するにつれ上記症状が悪化、重症化すると体重減少、心不全、呼吸不全といった症状がみられます。
初期には自覚症状がほとんどない場合もありますが、ゆっくりと進行していき、しだいに重症になっていきます。
進行に伴い呼吸機能が低下し通常の呼吸では十分な酸素を得られなくなると、日常生活で酸素ボンベなどを使い酸素吸入する必要が出てきます。
酸素吸入が必要になると生活上の変化を防げません。
COPDを予防するために、また進行しないようにするため、今できることを行っていきましょう。

COPDを予防・悪化させないためには?

①禁煙・早期診断・適切な治療

COPDの有効な予防方法は禁煙です。
喫煙されている方は禁煙し、非喫煙者の方はたばこの煙を避けましょう。
禁煙したくても中々うまくいかないという方は、ぜひ禁煙外来などで医師に相談してみてください。
またCOPDが不安だという方は、医療機関で肺機能検査や胸部CT検査を受けることをおすすめします。
早期診断、適切な治療を受けることで進行を遅らせることができます。

②身体を動かす習慣作り

COPDの方は息苦しさにより身体を動かす機会が減ってしまう方もいます。
しかし、運動不足になると心肺機能がさらに低下し、ますます息切れを感じやすくなります。
日常生活を送るために必要な基本動作を息切れなく楽に行えるようにするためにも、運動習慣を作りましょう。
ウォーキングなどの有酸素運動から、ややきついくらいの強度で始めるといいですね。

さいごに

初めてCOPDについて知った、聞いたことはあったけど初めて詳しく知ったという方もいらっしゃるかもしれません。
どの病気にも言えますが、COPDは早期発見・早期診断・早期治療が重要です。
ぜひ皆さんの周りにいる大切な人の健康を守るためにも、できるところから取り組んでください。

<参照>
・ WorldHealthOrganization「The top 10 causes of death」
・ 厚生労働省「人口動態統計」 
・ 日本医師会「健康の森」
・ 一般社団法人日本呼吸器学会「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」
・ 厚生労働省「慢性閉塞性肺疾患」

ABOUT ME
【保健師】藤居 まお
大学病院の消化器外科病棟に看護師として勤務後、不妊治療専門クリニックで体外受精などの生殖補助医療に携わる。看護師としてのキャリアを重ねていくなかで「もっと早く自分の身体、健康に意識してくれていれば」の想いが強まったことから、ドクタートラストに入職。産業保健師としてセミナーや保健指導、産業医導入企業へのフォロー介入など、多方面で活動中。得意分野は「女性の健康」「生活習慣病」「がん(特に消化器系)」など。

【保有資格】保健師、看護師、第一種衛生管理者、人間ドック健診情報管理指導士
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