健康診断で貧血気味であると指摘されました。貧血にならないためには1日にどれくらい鉄分をとればよいのでしょうか。
鉄分は1日に、月経ありの成人女性の場合10.5mg、成人男性では7.5mg摂取する必要があります。
貧血がもたらす影響
貧血になると、体力の低下を感じるだけではなく、食欲不振や、肌荒れ、またメンタル不調に陥ってしまうこともあります。
このような状態では仕事の効率も低下してしまいます。
女性は毎月の月経の影響により男性にくらべて鉄分を不足しやすいため、3人に1人が貧血であると言われています。
貧血にならないためには、毎日鉄分を必要量摂取する必要があります。
月経ありの成人女性の場合1日に10.5mg鉄分を摂取することが推奨されています。
しかし、厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査」によると、成人女性では1日平均7.5mgしか鉄分を摂取できておらず、毎日3.0mg不足していることになります。
また、なんとなく食事をしているだけでは、取れるはずの鉄分を取れていない可能性もあります。
鉄分を上手にとるために
食品に含まれる鉄分には、肉、魚のような動物性食品に多く含まれるヘム鉄(Fe2+)と、野菜などの植物性食品や卵、乳製品に多く含まれる非ヘム鉄があります。
ヘム鉄は十二指腸でそのまま吸収されます。
一方、非ヘム鉄は、十二指腸で吸収される前に、胃で鉄還元酵素やビタミンCによってヘム鉄と同じ形(Fe2+)に変換する必要があります。
そのため、植物性食品から鉄を取るときには、ビタミンCを含む食品を一緒に取ることが必要になります。
1日の足りない鉄分を補うために取りたい食品
以下に、1日に足りない鉄分3.0mgを補うために取りたい食品を紹介します。
動物性食品
食品 | 1日の目安量(g) | 鉄含有量(mg) |
豚レバー生 | 25 | 3.3 |
鶏レバー生 | 35 | 3.2 |
あさり水煮缶 | 10 | 3 |
しじみ水煮 | 20 | 3 |
コンビーフ | 80(1缶) | 2.8 |
牛もも赤肉(生) | 100 | 2.8 |
さんま焼き | 150(1尾) | 2.6 |
植物性食品
食品 | 1日の目安量(g) | 鉄含有量(mg) |
がんもどき | 100(大1枚) | 3.6 |
小松菜 | 120 | 3.4 |
生揚げ | 100(小1枚) | 2.6 |
えだまめ | 100 | 2.5 |
豆乳 | 200 | 2.4 |
ほうれん草 | 120 | 2.4 |
ご家庭での料理にこれらの食品を意識してプラスしましょう。
小松菜、ほうれん草は冷凍保存しておくことで、インスタントのスープやラーメンなどでも簡単に取り入れることができます。
また、あさりの水煮缶やコンビーフ缶などは、長期保存も可能で料理に簡単に取り入れやすいため、おすすめです。
ここで、上記の食材を使用した、鉄分1日の不足分を補う副菜レシピを紹介します。
この副菜では1人前で4.8mgの鉄分を摂取することができます。
また、今回は醤油和えにしましたが、味付けをナムルや胡麻和え、からし和えなどに変えるだけでレパートリーも増えるので、鉄分を補う副菜としておすすめです。
あさりと小松菜の醤油和え
〈2人前の材料〉
・ 小松菜 120g
・ あさりの水煮缶20g
・ しょうゆ大さじ1/2
・ 白ごま少々
※味付けはナムルや胡麻和え、からし和えなどに変えても良いです。
〈作り方〉
(1) 小松菜をさっと洗い食べやすい大きさに切る。水分の付いたまま耐熱容器に入れてラップをかけ電子レンジ(600W)で2分加熱し、水気をきる。
(2) ボウルに小松菜と水をきったあさり、しょうゆを加え和える。
(3) 器に盛り、白ごまをかける。
今回のレシピで使用したあさりや小松菜には鉄分が豊富に含まれています。
さらに、小松菜には非ヘム鉄の吸収に必要なビタミンCも豊富に含まれているため、効率よく鉄分を摂取できます。
また、小松菜を茹でずに電子レンジで蒸し調理することにより、鉄やビタミンC以外の栄養素も逃さず取れてしまいます!
外食・コンビニでも鉄分を意識して取りましょう
「外食やコンビニ食が多いため、鉄分を取れない」と思っている方は、選ぶ際にパッケージの表示や、使われている食材に注目して選ぶことで1日の鉄分不足分を補えます。
上記の表に示したような、鉄分の多い食材が使われている料理を選んだり、栄養機能食品として鉄分の表示があるものを選ぶことで、忙しい時の鉄分摂取が可能となるのです。
栄養機能食品とは、特定の栄養成分の補給のために利用される食品で、栄養成分の機能を表示するものをいいます。
鉄分の表記がある栄養機能食品の例としては、嗜好飲料やシリアル、ゼリーなどがあります。
ただし、栄養機能食品は普段の食事の補助的な食品になります。
まずは、主食、主菜、副菜を基本に栄養バランスの良い食事が重要です。
普段から、これらを意識したうえで補助として取り入れるようにしましょう。
今回お伝えしたように、毎日の食事に1品プラスするだけ、食材を1つ追加するだけで、1日の鉄分不足分を補うことができるので、ぜひ日々の生活の中で意識してみてください。
<参考>
・ 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
・ 厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査」
・ 消費者庁「栄養機能食品について」
