定期健康診断で、尿酸値の高さを指摘されました。ウニやイクラはほとんど食べないのに……!何に気を付けて生活したらよいのでしょうか?
このような質問は本当に多くいただきます。
日常生活の中で気をつけられることはたくさんありますので、わかりやすく解説します。
尿酸のために日常生活で気を付けることを解説する前に、まず「尿酸とは何か?」「高い状態を放置するとどうなるか?」とお伝えします。
尿酸とは、簡単にいえばプリン体という成分の老廃物のことです。
尿酸値といえば「プリン体が多く含まれるウニやイクラの食材をと摂りすぎている人の話だろう」というイメージをお持ちの方も多く、以前は「贅沢病」と表現されることもありましたが、今は必ずしも、そうとは言い切れません。
実際、プリン体が多く含まれている食べ物で思い浮かぶのは「ウニ、イクラ」などの魚卵類ですが、尿酸値が高い方と面談しても「ウニやイクラが大好きで、毎日食べています!」とおっしゃる方はいません。
大抵は心当たりがなく「なんで自分の尿酸値はこんなに高いの?」と驚かれる方がほとんどです。
尿酸値が高いとは、そもそも何を意味する?
尿酸値は、血液中に含まれる「尿酸」の値を調べたものです。
血液中に尿酸が多いと何がいけないのでしょうか?
自覚症状がないので体内でどのようなことが起きているのか、イメージし難く、日常生活で困ることがないので放置しがちですが、血液中の尿酸がどんどん増えると(目安として検査結果が7㎎/dLを超える)、血液中に溶けきれなくなった尿酸が関節にたまり、そこが炎症を起こし痛風発作を引き起こしかねません。
突然の激痛は避けたいところですよね。
尿酸値の高い人、増えています!
厚生労働省が毎年公表している「国民生活基礎調査」によれば、1986年以降の30年間でわが国の痛風患者数は約4倍、男性に限れば約5倍にまで増加しています。
また、痛風発作は起こしていないけど、尿酸値が高い方もたくさんいるので、かなりの数の人が高尿酸値であると推測できます。
なぜ男性は尿酸値が高くなりやすく、女性は高くなりにくいのでしょうか?
それは、女性ホルモンのエストロゲンが尿酸の排出を促すからです。
男女でホルモンバランスが異なるため、男性の方が高い傾向にありますが、女性も年齢を重ねていくと注意が必要になります。
尿酸値を意識しましょう
尿酸値を意識することは、簡単なようで難しいですよね。
尿酸値は採血で検査します。
企業で働いているみなさんは、1年に1回以上、定期健康診断を受診されていますが、定期健康診断で検査をする項目は、労働安全衛生法66条で以下のとおり定められています。
① 既往歴および業務歴の調査
② 自覚症状および他覚症状の有無の検査
③ 身長、体重、腹囲、視力および聴力の検査
④ 胸部エックス線検査および喀痰検査
⑤ 血圧の測定
⑥ 貧血検査
⑦ 肝機能検査(GOT、GPTおよびγ-GTP)
⑧ 血中脂質検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール、トリグリセライド)
⑨ 血糖検査
⑩ 尿検査
⑪ 心電図検査
上記のとおり「尿酸値」自体は定期健康診断の法定項目に含まれていないものの、⑥⑦⑧の採血検査で、尿酸値の検査を実施をしている企業もあります。
尿酸のために日常生活で気をつけられること
では、今回の本題「尿酸のために日常生活で気を付けられること」をご紹介します。
体のために、尿酸値を下げるために「良かれと思っていた食べていた、やっていた」が実は逆効果なケースもあります。
① ラーメン大好きでスープまで飲み干すケース
ラーメン大好きな方は「見えないプリン体」に注意です。
プリン体は、水に溶ける「水溶性」です。
おいしいだし汁やラーメンのスープ、それにお鍋のスープをごくごく飲みほしていませんか?
スープのなかにはプリン体がたくさん溶けこんでいるので、飲み切らないようにしましょう。
② 健康のためにとにかく納豆のケース
納豆は、良質なたんぱく質と豊富なビタミンが含まれており、積極的にとりたい食材ですよね。
コンビニで手軽に買えるのも嬉しいポイントです。
しかし、納豆を毎食を食べていたことが尿酸値に影響している可能性もあります。
納豆に含まれるプリン体の量自体は、多いほうではないものの、食べやすさ、入手しやすさから必要以上に食べてしまい、結果的に納豆から摂取するプリン体が多くなりやすい傾向にあります。
③ お酒選びを頑張っているケース
アルコール好きな方、プリン体カットビールを選んで安心していませんか?
その意識は大変素晴らしいものです。
ただ、お酒に含まれるプリン体が少量、もしくはゼロであっても、アルコールそのものが尿酸の産生量を増やしてしまうとされています。
アルコールは、体内のエネルギー源である物質の分解を進める性質を持っており、結果、プリン体が増えてやがて尿酸として体内に溜まります。
④ 筋トレをがんばっているケース
コロナ禍で自粛や在宅勤務が増えたので、筋トレを始めた方もいますよね。
減量したい方、体型をキープしたい方は、筋肉量を増やすことはとても良いことです。
ところが筋トレのような無酸素運動は尿酸値を上げてしまう作用があります。
そのため、尿酸値が気になる方には、ウォーキングや水泳などの有酸素運動のほうが適しています。
この機会に、日常生活に潜む尿酸値に影響しそうな習慣の見直しをしてみてください。
