子宮頸がんのワクチンは、10代の女子が定期接種の対象だと思いますが、大人になってから打っても効果はありますか?
定期接種の対象となるのは小学校6年生~高校1年生の年齢ですが、その期間に打てなかった成人女性がワクチンを打っても一定の効果が得られます。
子宮頸がんワクチンは、現在積極的な接種勧奨が控えられているので、今まで打ったことがないという方も多いのではないでしょうか。
10代を過ぎてしまってからワクチンを打つことに意味があるのかという疑問が湧きますよね。
すべての人に打つメリットがあるというわけでありませんが、10代以降でも幅広い年齢の方に対して効果が認められています。
今回は、子宮頸がんワクチン接種のメリットなどについて詳しくみていきましょう。
おとなになってからもワクチンを打つ意義はある
子宮頸がんは主に、性交渉によってHPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスに感染することで引き起こされます。
そのため、ワクチン接種の対象となるのは、まだ性交渉の経験がない(HPVに感染していない)女子ということになります。
国が定める子宮頸がんワクチンの定期接種の対象者が、小学6年生~高校1年生の女子であるのもこのためです。
それ以外の女性の接種はどうなのかというと、性交渉の経験がある成人女性についても、接種の意義は大いにあります。
数多くあるHPVウイルスの型の中で、今まで感染したことのない型のウイルス感染を予防することができます。
また、一度感染したことがあっても十分な免疫ができずに自然治癒することも多いので、同じ型でもワクチン接種により次の感染を予防することができます。
海外の報告では、45歳までワクチン接種の効果が認められています。
一方で、45歳以降の女性や、新たに性交渉のパートナーが増える可能性の少ない既婚女性の接種意義は少ないといえます。
子宮頸がんワクチンは3種類あります
現在、子宮頸がんワクチンの種類は3種類あり、どのワクチンでも合計3回接種する必要があります。
予防できる病気の種類や値段などが異なりますので、それぞれのワクチンの概要を下記に記載します。

※1)2価なら2つのウイルスの型への予防効果がある、4価なら4つ、9価なら9つという意味です。
※2)ウイルスの種類を型と呼びます。HPVには100種類以上の型があり、そのうちの約15種類に発癌性がある(高リスク型)といわれています。
※3)HPVは男女を問わず多くの人々が感染しますので、男性側もワクチンを接種することで子宮頸がんから女性を守ることができます。また、子宮頸がんワクチンは尖圭コンジローマや肛門がん、咽頭がんなどの予防効果もあるので、男性自身のがんの予防にもなります。世界的には、アメリカ、イギリス、オーストラリアなど20ヶ国以上の国で男性の公費接種が行われています。
※4)値段は大体の相場(筆者調べ)で、医療機関により異なります。自費だと高価なワクチンではありますが、20年程度の効果があるとも予想されており、一生ものと考えてよいと思います。
子宮頸がんワクチンのこれから
子宮頸がんワクチンは現在も定期接種ではありますが、副反応などの問題で平成25年から定期接種の積極的勧奨が差し控えられてきました。
昨年、厚生労働省で話し合いが行われ、接種対象者への接種勧奨が令和4年4月から再開される見込みとなりました。
それに伴い、接種の機会を逃してきた方への「キャッチアップ接種」として、17~25歳頃(対象年齢は現在協議中)までの女性に対して公費助成が行われる予定ですので、この機会にご自身やお子さんの接種を検討していただけるとよいと思います。
過去にワクチンを1回または2回接種した後、接種を中断し、接種のスケジュールを最後まで完了していない方への対応や、ワクチンの交互接種(1回目や2回目、3回目に異なるワクチンを接種すること)の可否は検討中とのことです。
最後に、ワクチンは子宮頸がん検診に代わるものではありません。
ワクチンを接種し、感染予防をした上で早期発見のための子宮頸がん検診を受けることも大切です。
それぞれの効果やメリットを理解した上で、正しく子宮頸がんを予防していきましょう。
<参照>
日本産婦人科学会「子宮頸がんとHPVワクチンに関する正しい理解のために」
厚生労働省「ヒトパピローマウイルス感染症~子宮頸がん(子宮けいがん)とHPVワクチン~」
