高血圧の場合、外食はどうしたらいい?~高血圧傾向がある方の外食ガイド~

【血圧が高いと言われたら】高血圧の場合、外食ではどんなことに気を付ける?
講師:小林彩実(管理栄養士)

健康診断で血圧が高いと言われ、産業医から減塩を指示されました。
仕事の日の昼食は外回りの合間に食べるため、外食になることが多いです。
どんなお店を選び、どんな工夫をすればいいでしょうか。

肥満であれば、減塩と並行して肥満を改善していくためのメニューの選び方をしましょう。
普通体型の場合も、メニューの選び方だけではなく、お店の選び方やセットメニューの選び方、頻度を工夫できるとベストです。

血圧が高い場合、食事で気を付けることとしてあげられるのが「減塩」です。

1日の適切な食塩摂取量は、健康な人であれば男性7.5g以下女性は6.5g以下とされており、高血圧の人は6.0g以下とされています。

ただ、外食の場合は味の濃いものが提供され、味付けのコントロールが難しいこともしばしば。
カロリーの高い、低いはメニューを見ればなんとなくわかっても、注文の前に味付けの濃さ・塩分の量が多いかどうかを判断するのは難しいです。

この記事では、外食の利用を前提に、血圧が高い方の飲食店・食べ物の選び方をご紹介します。

まずはBMI・腹囲を確認

血圧が高く、かつ肥満の場合は減塩も必要ですが、まずは肥満の解消が優先されます。
これは、内臓脂肪そのものから血圧を上げるホルモンが出てしまうため、内臓脂肪から減らしていくということです。

肥満の定義は、「身長と体重のバランスを見るBMIが25以上」(BMI:体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で算出)とされていますが、このほか、おへその上での腹囲が男性で85㎝以上女性で90㎝の場合は、内臓脂肪が多い状態とされています。

筋肉質でBMI≧25でも、腹囲が基準値以下の場合は内臓脂肪過多とは考えにくいですが、それ以外でBMIまたは腹囲の基準を超えている場合は、まずは減量を試みましょう。

体重や内臓脂肪を減らしていくには、カロリーが低く、かつ栄養バランスがとれている食事を選ぶことが望ましいです。

具体的に気を付けるポイントは、以下のとおりです。

・ごはんや麺など炭水化物の取り過ぎを控える
→丼・麺ものを食べる場合は、大盛を控え、肉・魚・卵や野菜などの「おかずになるもの」を足す。
また、麺+ミニ丼、パスタ+パン、ラーメン+炒飯など、W炭水化物となるセットメニューは控える。

・主食、メインのおかず、野菜のおかずが揃った食事を選ぶ
→主食は大盛を控え、メインのおかずは揚げ物の頻度を減らす。

・油の多い中華、ラーメン、揚げ物がのった丼(かつ丼など)などの高カロリーなものは、食べる頻度を減らす

BMIや腹囲が基準値以内の場合は?

BMIや腹囲が基準以内の場合は、以下のポイントに気を付けましょう。

①高塩分メニューが多い店を避ける

中華料理やラーメン、ちゃんぽん、カレーは、種類によって差はあるものの、基本的に塩分量が多く、1品で1日の適切な塩分摂取量の7~8割を占めてしまうものもあります。

特に麺類は、汁まで飲みほしてしまうと、たった1食で1日の塩分摂取量を超える場合もあります。
つけ麺は塩分が少なめかと思いきや、普通のラーメンよりもつけ汁が濃く、そして麺が太いとスープがよくからむため、塩分量に大きな差がないことも多いようです。

せっかく入ったお店で、塩分のことを気にして食べたいメニューを避けたくない…という場合は、これらの専門店は初めから避ける、または今よりも頻度を減らすようにしましょう。

②塩分量が多くなりがちな食べ物を避ける

①で紹介したようなものの他にも、高塩分になりがちなメニューはあります。 
和定食のお店の定番、生姜焼き定食を見てみると、とあるファミリーレストランでは、ご飯・豚の生姜焼き・味噌汁・たくあんのセットで、食塩相当量は5.7gと公表されています。

高血圧の場合、1日の塩分摂取量は6.0g以下が推奨されていますので、これだけでも1日の塩分摂取量をほとんど満たしてしまいます。

ただし、ここで味噌汁と漬物を控えると、食塩相当量は3.3gまで減らすことができます。
味噌汁は1杯で約2g、漬物は小皿に一皿でも約1gの塩分が含まれています。
和定食はカロリーが低くてヘルシーなイメージがあるかもしれませんが、一方で塩分は高くなりがちです。
しかし、味噌汁や漬物を控えることで、かなりの減塩ができます。

また、セットメニューでごはんかパンを選ぶことができる場合は、ご飯を選ぶようにすると減塩できます。
そのほか、自分でしょうゆやソースをかける場合は、かけすぎに注意しましょう。

③野菜をしっかり食べる

野菜に含まれているカリウムは、食塩のナトリウムを外に排出してくれる役割があります。
カリウムは水に流れ出やすいため、できるだけ野菜は生の状態で食べられるサラダなどでとれるとベストです。

目安としては、生であれば両手1杯のサラダ。実は、セットについてくるサラダでは足りません。
できれば、少し大きめのものを注文できるとベストです。

※腎障害がある場合は、カリウム摂取の制限が必要なこともあるため、主治医や通院先の管理栄養士の指示に従ってください。

今よりも確実に、少しずつの減塩を

日本人の食塩摂取量は、平均的に見ても推奨されている1日の適切な量を越えており、基準の範囲内にはなかなか収まらないかもしれません。
しかし、1日の塩分摂取量が15gだった人が、まず10gにすることで、血圧が少しでも下がる見込みはあります。
そこから徐々に減らしていく、という方法を取っていくことが必要です。

「調味料を減らす」といった小さな工夫を積み重ねることも重要ですが、それだけでは効果も出にくく、意識も継続しにくいです。
塩分の多いものを食べる頻度を今よりも減らす、麺類の汁は残す、など、確実に減らせる方法と並行して取り組んでいきましょう。

<参考> 足立香代子『検査値に基づいた栄養指導』(チーム医療)

ABOUT ME
【管理栄養士】本多 いずみ
従業員向けセミナーや特定保健指導を通して、食事や運動・生活習慣のアドバイスを行う管理栄養士/健康運動指導士。「楽しく賢く健康になる」がモットー。「見た物のカロリーがだいたいわかる」という特技を持っている。
保健指導の経験を積むなかで、働く環境が心身の健康に及ぼす影響の大きさを実感。個人の食事や運動にとどまらず、組織全体の健康にアプローチができる医療職を目指し、健康経営のアドバイザーも務める。

【保有資格】管理栄養士、健康運動指導士、第一種衛生管理者、健康経営エキスパートアドバイザー