残業続きで、最近眠れていません。
大事な仕事が控えているので、睡眠時間を削っていますが、このままでいいのか不安です。
大事な仕事が控えている時こそ、睡眠をしっかりとりましょう。
睡眠不足が仕事のパフォーマンスに影響するというのは、聞いたことがある方も多いでしょう。
しかし、実際には、業務が立て込んでいたり、繁忙期や大事な仕事を控えているときは、リラックスして十分な睡眠がとれなくなってしまうこともあります。
今回は、残業(長時間労働)で睡眠時間を削ってしまうことのリスクと、さらに高い生産性を手に入れるための睡眠のとり方について説明します。
残業で睡眠時間を削ることは健康を削っているということ
実際、皆さんは何時間ぐらい眠っていますか?
皆さんが「8時間労働」として、休憩1時間、往復2時間の通勤時間を費やしていたら、生活時間も含めると、残業がなくても「7時間」睡眠が取れたらよい方なのではないでしょうか。
しかし、残業で自宅に帰る時間が遅くなればなるほど、十分な睡眠時間が確保できなくなります。
睡眠時間を削ってまで仕事をすることが「能力の発揮」につながるのかというと、独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査によれば、実労働時間が長い人ほど健康不安が高く、健康不安が高い人ほど能力の発揮度合いに対する自己評価が低い傾向にあることがわかりました。(※1)
つまり、働けば働くほど自己評価が低くなり、普段の能力の発揮ができにくくなるということです。
それに加え、長時間の労働は、脳や心臓疾患の発生要因として、大きな課題となります。
脳や心臓疾患に関する労災認定基準においても、1ヶ月の残業時間が45時間を超えると発症リスクを高め、100時間(もしくは2~6か月間の平均が1ヶ月当たり80時間)を超えると、発症との関連性が高いとされています。
会社で管理されている就業時間として残業時間が多くないとしても、通勤中や自宅での仕事を含めると、意外と「働きすぎている」ひとは多いのではないでしょうか。
働くために寝ないといけないのは本当?
なぜ、日本人は睡眠時間を削ってまで働くのか、この理由は日本人の国民性にあります。
同志社大学と電通総研が実施した「世界価値観調査」によると、生活において「仕事」を重要と回答するひとの割合が8割であり、「働くことがあまり大切でなくなるのは良いこと」に賛成するひとの割合は1割にとどまり、先進国の中では最下位となっています。(※2)
日本では「働く」ことは非常に重要な行為であることがわかります。
そして、経済協力開発機構(OECD)の調査によると、日本人の平均睡眠時間は加盟国のうち30カ国で最下位だったようです。(※3)
後回しにされてしまっている「睡眠」の役割は、非常に繊細で大量のエネルギーが必要な「脳」を休ませることです。
脳神経回路の再構築やメンテナンスの役割を果たしており、脳を適切に休息させ、修復・回復させる機能が睡眠といえます。
睡眠時間が短くなると、メンテナンス時間が足りず、身体面への影響だけでなく仕事に必要な「集中力」や「判断力」、「記憶力」が低下しやすくなります。
身体の疲労は安静にしているだけである程度回復できますが、脳は睡眠をとることでしか修復・回復できないため、睡眠時間を削ってしまうことは、仕事の上でも逆効果なのです。
忙しいときこそ実践してほしい!生産性をあげるための3つの睡眠法
忙しいときや大事な仕事の前に緊張したりするときに、睡眠が十分にとれないこともあるでしょう。
短い時間で、少しでも睡眠の質を上げる方法についてお伝えします。
① 頭を冷やす
睡眠は深部体温が下がることで、眠気が促進され、寝つけると言われています。
ですが、仕事のことや悩み事など考え事をして脳を使っている時は、脳の温度はどんどんあがっていってしまいます。
布団に入っても眠れない……そんな時は、頭(耳から上)を冷やしてみてください。
② 朝は光を浴びる
目が覚めてから太陽の光を浴びて、体内時計のリズムがリセットされると、そこから14~16時間後に眠気が出現します。
忙しいときや大事な仕事の前こそ、光を浴びてスイッチオンしましょう。
③ 起床時間をそろえる
早寝早起きこそ大切だと信じられてきましたが、いまは、毎朝同じ時刻に起床し、起床後なるべく早く太陽の光を浴びることが、速やかで快適な入眠となることがわかっています。
仕事が忙しくてなかなか睡眠時間が確保されなくても、起床時間をそろえて生体リズムを保ちましょう。
※1 労働政策研究・研修機構「労働時間管理と効率的な働き方に関する調査」
※2 電通総研 「世界価値観調査2019」
※3 OECD 「2018 Time use across the world Portal」
