昔から緊張すると、腹痛や下痢をしてしまいます。
これはストレスによるものなのでしょうか?
検査で問題がなく、昔からというのであれば、ストレスと関連深い過敏性腸症候群(IBS)かもしれません。
まずは、ストレスとの付き合い方や生活リズムを整えることが大切です。
症状が辛いようであれば医療機関の受診をご検討ください。
下痢と便秘を繰り返す主な原因としては、大腸がんや潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群などが考えられます。
その中でも今回は、ストレスとの関連が深く、寒い時期に悩まされる人も多い過敏性腸症候群について紹介していきます。
■過敏性腸症候群について
過敏性腸症候群(IBS)とは、おなかの調子が悪く、便秘や下痢などのお通じの異常(排便回数や便の形の異常)が数ヵ月以上続く状態のときに、検査をしても腫瘍や炎症などの病気がみられない状態のことを指します。
日本では、約10%程度の人がこの病気であるとされています。
現在でも、病気の原因はいまだに特定されていませんが、ストレスが深く関わっていることがわかっていて、自律神経失調症の関連する病気の一つとしてもよく挙がります。
ストレスにより自律神経の乱れが引き起こされ、お腹の痛み、便秘・下痢のために日常生活に支障をきたすことが少なくありません。
また、細菌やウイルスにかかった場合、回復後に過敏性腸症候群にかかりやすいことも知られています。
症状について
過敏性腸症候群の主な症状としては、腹痛や腹部不快感、便秘、下痢です。
症状は排便によって軽快や軽減しますが、ストレスによって増悪します。
なお、現在の国際的診断基準では4つのタイプに分類されており、主な症状も一緒に紹介します。
- 便秘型:ストレスを感じると便秘がひどくなる、緊張すると腹痛があるのにコロコロとした便がでる、コロコロとした便やソーセージ状の硬い便が出ることが多い
- 下痢型:ストレスを感じると急な下痢や腹痛を感じる、トイレに行けない状況では下痢がひどくなる、泥状や水様便が出ることが多い
- 混合型:下痢と便秘を交互もしくは繰り返す、下痢や便秘などはっきりしない状態が続く
- 分類不能型:上記3つのいずれの異常の基準も満たさないもの
治療について
まず、生活習慣の改善を行っていきます。
規則正しい生活を行い、睡眠を十分にとることが勧められ、ストレスを溜めすぎないことが重要となります。
食生活では3食バランスよく規則的に食べること、辛いものやアルコールを控えることです。
また、特定の食品から症状が生じやすい場合もあるので、その食品を避けることで症状が緩和されることもあります。
生活を整え、ストレスの原因を明確にして気分転換を行い、ストレスを緩和していくことが必要です。
次に、生活習慣を整えても改善されない場合、下痢、腹痛、便秘といった症状に合わせて薬物による治療が開始されます。
腸の動きを整える薬やビフィズス菌や乳酸菌といった菌の薬、便の水分を整える薬や、下痢に対しては下痢止め、腹痛には抗コリン薬、便秘治療薬なども使用されます。
予防について
過敏性腸症候群になりやすい原因(危険因子)はやはり、過度なストレスです。
ストレスを蓄積しすぎないことが大切です。
また自律神経の乱れとも関係があるといわれているので生活リズムを整えてみることも大切な治療です。
- 睡眠をしっかり取ること
- 炭水化物や脂肪が多い食事を摂り過ぎないようにして、3食バランスよく食べること
- 乳酸菌を摂取すること
- アルコール、香辛料などを控える
- 禁煙をする
「おなかの調子が悪いのはいつものことだ」、「ストレスのせいだ」と我慢せずに、規則正しい生活を行うことやストレスとうまく付き合うことも効果的です。
また、症状で困ったときは医療機関に相談してくださいね。
参考:
日本消化器学会「過敏性腸症候群」
厚生労働省eヘルスネット「過敏性腸症候群」
