インフルエンザのときに、市販の薬を飲んでも大丈夫?

【インフルエンザかも…と思ったら見て!】急な発熱!どうする?正しい対処法を解説!

高熱があり、インフルエンザかもしれません。
病院に行かずに市販の薬を飲んで安静にしていればそれでいいですか?

インフルエンザの疑いがあるときに自己判断で市販の薬を服用することは危険です。
速やかに受診しましょう。

まだまだ猛威をふるっているインフルエンザですが、38度以上の高熱や咳などの非常につらい症状に襲われることが特徴です。
「症状がつらく、病院へ行くこともままならない……」というときについ頼ってしまいがちなのが、市販の解熱剤や咳止めなどの薬です。
しかし、インフルエンザに感染している場合、市販の薬を服用することで命を落としたり、重篤な後遺症が残ったりするリスクがあり、自己判断で服用することは危険です。

なぜ服用してはいけないの?

それは一部の薬の成分がインフルエンザ脳症やライ症候群などのインフルエンザの合併症を引き起こし、最悪の場合には命を落としてしまう危険性があるからです。
たとえば聞きなじみのある解熱剤「ロキソニン」は非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)という種類で、解熱効果は確かにありますが、インフルエンザ感染時に服用するとインフルエンザ脳症のリスクを上昇させるといわれます。

インフルエンザ脳症は発症するとけいれん、意識障害、異常行動などの神経症状があらわれ、人によっては難治性てんかん、知的障害などの重篤な後遺症が残ることがあり、命が助かったとしても長期にわたり仕事へ影響を及ぼしかねません。

そのほかの解熱鎮痛薬や咳止め薬に使われている成分も合併症のリスクを上昇させるため、自己判断で飲むことは危険です。
また、合併症は子どもや高齢者に多くみられるので「大人は大丈夫」という認識を持っている方もいらっしゃいますが、数が少ないとはいえ大人でも発症することはありますので、注意する必要があるでしょう。

合併症以外にも危険がある!

市販の薬を飲まなかったとしても、受診せずに放置した場合、インフルエンザ肺炎を発症したり、命にかかわる脱水を起こしたりするなど、重症化する危険性があります。
もちろん受診せずに自宅で十分に水分をとり安静にすることで自然に治癒させることは可能です。
しかし症状が強くなり、水分をとることも眠ることもままならない状態になることもあるかもしれません。

また下記に当てはまる方は特に重症化のリスクが高いため、必ず受診することがおすすめです。

  • 65 歳以上の年齢
  • 慢性呼吸器疾患(喘息や COPD)
  • 心血管疾患(高血圧単独を除く)
  • 慢性腎、肝、血液、代謝(糖尿病など)疾患
  • 神経筋疾患(運動麻痺、痙攣、嚥下障害)
  • 免疫抑制状態(HIV 感染や、薬物によるものを含む)
  • 妊婦
  • 長期療養施設の入所者
  • 著しい肥満
  • アスピリンの長期投与を受けている者
  • 担癌患者

出典:厚生労働省「成人の新型インフルエンザ 治療ガイドライン 第2版(PDF)」

これらに当てはまらない健康な大人であったとしても、吐き気や嘔吐、下痢があり水分が摂取できない場合や、熱が39~40℃以上と非常に高い場合、熱が3日以上下がらない場合、呼吸が苦しい場合、症状がどんどん悪化する場合などには受診した方がいいでしょう。

インフルエンザの疑いがあるときは可能な限り速やかに受診を!

受診し検査を受け、インフルエンザと診断された場合は、発症からの時間や患者の状態などを考慮したうえで医師の判断で抗インフルエンザ薬が処方されます。
抗インフルエンザ薬は、解熱剤や咳止め薬のように辛い症状を緩和するための薬ではなく、インフルエンザウイルスそのものを治療する薬であり、発症後なるべく速やかに(目安として48時間以内)服用することで、自然治癒よりも症状の緩和を早め、重症化のリスクを下げることができます。
ただし発症からの時間が48時間以上経過していた場合には抗インフルエンザ薬を服用しても効果が得づらくなります。
そのため「インフルエンザかな?」と思った時点で速やかに受診し、医師の指示に従って治療を開始することが重要です。
また、インフルエンザの疑いがあるときはマスクを着用するなど、周囲の人に感染させないように努めることも大切です。
何よりも、まだ感染していないという方は、予防に努めていただくことが一番でしょう。

ABOUT ME
【保健師】佐藤 せな
看護師として病院で救急看護や慢性期看護などを広く経験するなかで、思わぬ病気により、過去の生活を後悔する患者さんを数多く目にすることで、病気の予防に強く関心を抱く。
ドクタートラストに参画後は、働く人の病気の予防に貢献するため、健康診断後の保健指導などを実施。また、実際の病気のありようや経過、患者さんの気持ちの変化など、看護の現場にいたからこその知見を活かした健康セミナーなども行っている。

【保有資格】看護師、保健師

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