食事【コラム】

禁煙すると太るって本当?~健康的な食事の取り方~

禁煙しようかと考えていますが、禁煙すると太るって本当ですか?

今までと全く同じ生活をしていても、禁煙によって体重は約2〜4kg増加することが予想されます。
しかし、体重増加による健康リスクよりも、喫煙を続けることによる健康リスクのほうが遥かに高いので、是非とも禁煙をしましょう。

禁煙による体重増加の原因とは?

禁煙を試みようとされる方の多くが、「体重が増えるかどうか」を気にされます。

禁煙開始後に体重が増加する原因は、

  • ニコチンによる食欲抑制作用と基礎代謝亢進作用の2つの作用がなくなる
  • 口寂しさを紛らわすために間食が多くなる
  • 味覚に変化が起き、今までよりご飯を美味しく感じる等

により起こり得ます。

ただ最初のうちに、体重についてあまりに気にしすぎると再喫煙してしまう可能性が高まりますので、まずは禁煙を続けることに専念し、禁煙の離脱症状が落ち着いたら、体重コントロールに専念することが重要です。

食事の取り方に気を付けよう

禁煙を始めてだいたい4週間で離脱症状は収まるといわれていますが、そのあとの体重コントロールのための食事の取り方をご紹介します。

ご飯をゆっくり時間をかけて丁寧に食べよう

皆さんは、「ながら食い」していませんか?
スマホを見ながら、テレビを見ながら、新聞を見ながら・・・
「ながら食い」は、食べる量を不思議と増やしてしまいます。まず、目の前の食事に集中して食べてみましょう。
そしてよく噛み、味わってみましょう。
最初の頃は、軟らかいものよりも、硬い食べ物を選ぶのが良いでしょう。
よく巷で言われている「○回以上噛みましょう」とは言いませんので、今までよりも多めに噛むことを是非意識してみてください。
食事を始めて20分後に満腹中枢が反応すると言われています。
ゆっくり時間をかけて食べて、「そろそろお腹がいっぱいかな」と感じたら食事を終わらせるのがベストです。

口さみしい時に何を食べる?

禁煙中によく見られるのが、吸いたくなったら何か口に含む、という対処法の実践です。
もちろんこの方法は効果的なのですが、このときに何を口に含むか、が重要になってきます。

・チョコレートやクッキー
・飴やグミ
・おせんべい
・エナジードリンク

これらのものを、吸いたくなったら摂取していたら、元々がヘビースモーカーであればあるほど、1日のカロリーをオーバーするのは、想像に容易いのではないでしょうか。
そこでおススメは、

・ガム、スルメイカ等の低カロリーで長時間噛んでいられるもの
・お茶やノンシュガーの紅茶ガム

と言いましたが、特にキシリトールガムにすると良いでしょう。
というのも、キシリトールは人間の吸収できない糖分で、カロリーが低いからです。
また、「噛む」という行為は満腹中枢も刺激するので、量もそこまで取らずに済むため、是非一度試してみてください。

いくらご飯が美味しくても腹八分目にしましょう

禁煙をすると多くの人が口にするのが、「ご飯を美味しく感じるようになった」ということ。
タバコに含まれるタールは独特な匂いを発します。 このタールが、たばこを吸うと鼻の粘膜に付いて、食べ物がもつ本来の臭いを感じにくくします。
そして、このタール。曲者なのが、匂いだけでなく、舌にある「味蕾(みらい)」という味を感じる部分に付着すると、機能を衰えさせてしまいます。

禁煙をすると、タバコによる味覚や嗅覚への影響は、2、3日で回復すると言われています。感覚が回復すると、やはり食事を美味しく感じることで、食事量は自然と増えてきます。
そこで食べ過ぎてしまわないように、「腹八分目」
これがポイントです。腹八分目を成功させるためには、

・あらかじめ、食べる量を自分の器に盛る
・満腹の時に買い物に行く
・食事記録をつける
・箸やフォークは一回ごとに置く

を試してみてくださいね。

禁煙への大きな一歩

わかってはいるけどやめられない、そんな依存性があるのがタバコです。
タバコの害は目に見えてわかるものでもないので、ピンとこない、これが正直な意見でもあると思います。
しかし、知っていましたか?
たばこの煙は、大気汚染の元である車の排気ガスや焼却炉からのばい煙などと同じでPM2.5の仲間です。
粒子が大変小さく、「発がん物質であるかたまり」がより肺の奥深くまで侵入してしまうというわけです。
怖いですね。

たばこやめてみようかな、これだけでも、大きな一歩です。
漠然と負担の大きな禁煙、ではなく、毎日継続するために、出来ることから一つずつ解決できる禁煙をしていきましょう。

ABOUT ME
【保健師】原田 佑紀子
大学病院やクリニックで看護師として、さまざまな疾患をもつ働き盛りの年代の患者様を間近で看護させていただくなかで、からだとこころは密接に関係している、と強く実感しました。 「病気」に目を向けるだけではなく、病気になることで揺れ動くこころや生活を支え、健康に働くことをサポートする役割になりたいという思いから、産業保健師として活動しています。皆さんの「知りたい」最新の産業保健の情報を伝えられたらと思います! 【保有資格】看護師、保健師、人間ドック健診情報管理指導士、睡眠健康指導士上級